市民50人、塗り直し作業で汗 旧近江酒造敷地で保存・活用
【東近江】 近江鉄道線で昭和中頃から平成初期まで活躍し、現在は旧近江酒造敷地(東近江市八日市上之町)で保存されている国産最古級の電気機関車「ED31形4号機」。
「こどもの日」の5月5日、車両の保存・活用に取り組む市民団体は、子どもたちに貴重な産業遺産が残っていることを実感してもらおうと、車体をペンキで塗装する市民参加型のイベントを現地で開き、市内外から約50人が参加した。
ED31形は、全長11・5メートル、重さ40トン、凸型のレトロで重厚感のある外観が人気だ。1923年(大正12年)、芝浦製作所・石川島造船所で6両が製造され、伊那電気鉄道(長野県、旧国鉄・現在のJR飯田線)、西武鉄道(埼玉県)を経て、1960年(昭和35年)、5両が近江鉄道に譲渡された。
近江鉄道線では、コメや野菜、日本酒などの産物を輸送する貨物列車、その後はイベント列車などのけん引用として2004年まで活躍した。引退後は同社車庫(彦根市)で保管されていたが、17年12月に老朽化に伴う解体方針が報道されると、東近江市の市民から「貴重な近代化の遺産のひとつであり、地域活性化に活用すべき」との声が上がった。
5両のうち3両は18年に解体され、残る2両のうち1両が、びわこ学院大学(東近江市)の当時の学生と市民有志が任意団体「近江鉄道ED314保存活用プロジェクト」を立ち上げ、移設費を募るクラウドファンディングで目標額を上回る約570万円を集め、19年に現在地に移設された。
20年の市民イベントで、近江鉄道線で活躍した現役時代と同じ鉛色に塗り直したが、4年半が経過し、さびが目立ちはじめたため、見学会を兼ねて「お色直し」することになった。
今回の色は、国鉄の標準色の資料に基づき、国鉄時代の「ぶどう色2号」に近い茶系色となった。当日は、遠方は東京からの参加者もあり、延べ50人が往時の活躍に思いをはせながら、塗り直しの作業でさわやかな汗を流した。
主催の同団体代表、西田善美さん(78)は、「コロナ禍で思うように活動できなかった時期もあったが、ここ2年は園児の塗り絵展をガチャフェスにあわせて実施してきた。今回の「お色直し」は、子どもたちが体験や学習を通して遺産の大切さや活動の楽しさを知ってもらう取り組みで、今後も続けていきたい」と話している。







