民間飛行場と八日市の歴史
【東近江】野々宮神社宮司で郷土史家でもある中島伸男さん(90)が、平成4(1992)年に出版した歴史本「翦風(せんぷう)号が空を飛んだ日」の増補版を自費出版した。
翦風号は、大正3(1994)年、旧八日市町(現・東近江市)沖野が原の飛行場から飛び立った単葉飛行機で、フランスで飛行訓練を積んだ愛知郡島川村(現・愛荘町島川)出身の荻田常三郎が操縦して沖野が原から島川村まで郷土訪問飛行を行った。
新史実の加筆と検証
郷土史家・中島さん自費出版
飛行家としての荻田の活動は日本の民間飛行機の黎明期にあった航空界に大きな歴史を残し、当時の八日市町にとっても多く人々の関心を集めて荻田の飛行活動を支援。その後、「飛行場のまち八日市」のまちづくりが始まり、太平洋戦争時は陸軍飛行場に変遷した。終戦とともにその姿は消えていった。
増強版では、荻田常三郎の生い立ちや飛行家への道、荻田の郷土訪問飛行を機に八日市が町挙げて民間飛行場づくりの中心となって奔走した熊木久兵衛とその足跡、戦時に陸軍飛行場に進む時代背景など、史実をもとに詳しく記述した内容に新たに分かった資料や史実が綴られている。
本には大正4(1915)年12月、アメリカ人の民間飛行家・チャールズ・ナイルスが来日し、八日市を訪れた際には、伝導活動に取り組んでいたヴォーリズが発行していた英字機関誌に載せた八日市飛行場の記述やチャールズに自宅を宿として提供したこと、通訳を務めた吉田悦蔵(ヴォーリス邸の隣に居住し、ヴォーリズと親交が深かった)との交流など、興味深い記述もある。
増補版で新たに増やした「第8章陸軍八日市飛行場余話」では、地籍から考察した翦風号が飛んだ場所や八日市飛行場の範囲、陸軍飛行場に変わる新たな歴史話が当時の記録写真とともに追記されている。
中島さんは「全国に知られていない小さな町、八日市が我が国の民間飛行界の黎明期に先駆的な歴史があったことを知っていただけたらうれしく思います」と話している。
B5判。全226ページ。サンライズ出版発行(定価2千円税別)。東近江市内の図書館にもある。








