近江八幡を題材に作品制作 村松 珠季
近江八幡市に来る以前、私は東京の美術大学で嘱託職員として働きつつ、美術作家の活動をしていました。職員としては、大学外へ向けた美術・デザイン教育の普及振興を目的とした部署に在籍し、社会人向け教育プログラムや創業支援プログラムの運営などに携わっていました。社会での美術の受容のされ方や、学術的研究の意義など様々なことを知り、また、いろいろな人のサポートをしていくなかで、私自身の身の振り方についても考えることが増えました。作家活動に割く時間があまり取れなかったこともあり、そろそろ自分の活動を本格的に進めたいと思っていました。
そんなとき、偶然、近江八幡市にて、芸術分野の地域おこし協力隊の募集が出ていることを知りました。募集は企画持ち込み型だったので、私自身のやりたいことを盛り込んだ企画を提案することができました。給与をもらいながら創作活動に専念でき、作家としての力をつける期間にできるように思えたので、とても魅力的でした。
地域おこし協力隊は他の自治体でも募集がかけられていて、そうした募集を私もいくつか見てはいたのですが、最終的に近江八幡市に決めました。決め手はいくつかあったのですが、まず、近江八幡市の募集は、隊員にかなりの裁量が委ねられていて、その点で条件が良かったということがあります。また、近江八幡市には、八幡堀や水郷、左義長まつりなどの歴史・文化的な遺産が継承されていたり、八幡山や琵琶湖といった自然が近くにあったりと、これから住み、制作する拠点としてよい場所のようにも思えました。
今後、隊員としては、近江八幡を題材とした作品制作に取り組みたいと考えています。近江八幡市での生活・創作活動を通じて、自身の作品のスタイルや手法を確立することが目標です。その際、作品制作の手法においてSF的な考え方、例えば、過去・現在・未来を行き来したり、まぼろしの生き物を検証したりするような発想を取り入れようと模索しています。そして、そうした作品制作の手法に理論的な説明を与えるための研究を進めることも予定しています。その研究の結果を、前職での経験も活かして、学習プログラムにまとめるつもりです。
まず、この1年は、市内や周辺地域のリサーチを行い、いろいろと作品を試作してみたいと思っています。今のところは、琵琶湖が少しずつ北上しているということに注目して、「北上する琵琶湖の模型を作る」と題したワークショップを開くことを構想しています。







