新春鼎談 生産者×JAグリーン近江×石井食品株式会社
【東近江】 地域でつくられた産物を地域で消費する「地産地消」。東近江市では、産地と企業が連携し、地元キャベツを使った地産地消プロジェクトが4年目を迎える。そこで、この取り組みに関わる市内のキャベツ農家の田中久景さん(たなかふぁ~む)とJAグリーン近江(東近江市)の大林茂松組合長、石井食品(千葉県船橋市)の石井智康社長に「地産地消」をテーマに鼎談してもらった。文中敬称略。
――地産地消が重視される背景は。
大林 地産地消を進めると、生産現場と消費者の距離が近づき、消費者のニーズが生産者に伝わる好循環へ発展し、地域で消費されるものは地域でつくる機運が高まる。
そういう意味で、近江商人の三方よしを地でいっており、生産者よし、消費者よし、世間よしという良さが地産地消にある。
――戦後の大量生産・大量販売のビジネスモデルの結果、食卓はどうなったか。
大林 我々がいつも消費者のみなさんに訴えるのは、「農畜産物の価格は生産コストを賄えていませんよ」と。農産物は流通コストなどが高くつき、生産者の手取りは抑制されている。
田中 スーパーでは年中、豊富に野菜が並んでおり、旬がなくなっている。食べ物への感謝の気持ちが薄れた結果、食品ロスを生み出している。
キャベツ一つ栽培するにもすごく手間とお金をかけている。食べられるのは当たり前、虫がついていないのが当たり前でないと、とくに将来を担う子どもたちに知ってほしい。
石井 消費者からみると、現代生活の中で「コスパ」「タイパ」を重視する場面もあるし、かといって豊かな食生活はそれだけでもない。つまり、「ゼロかイチ」が答えではないと思う。
例えば、朝食と昼食は安く手軽に済ませたいけれど、夕食は家族とともに豊かな時間を過ごしたいという、おいしさやつながりを求めるシーンもある。
そうした時に、地産地消の豊かな食という選択肢をつくることは、消費者ニーズをかなえる意味で重要といえる。
――石井食品の「地域と旬のプロジェクト」の目指すものは。
石井 今まであった大きなサプライチェーン(原材料の調達から製造・販売までの流れ)でなく、地域ごとの小さなサプライチェーンをつくる。我々企業だけでなく、生産者やJA、小売りなどの地域と共につくり、消費者と生産者を近づけて循環させるイメージをもっている。
そうすることで消費者からフィードバックがもらえる。
――プロジェクトの一環で「東近江キャベツを使ったハンバーグ」の開発に関わった思いは。
大林 キャベツの出荷は県外が多かった。加工用ですから生産者の顔が見えない販売の仕方だった。石井食品さんのプロジェクトにより、生産現場と消費者の距離が近づくことで信頼関係が生まれ、生産者の励みにもなる。
田中 生産者として商品開発に加われるのは魅力的。試作にも参画し、意見を反映してもらえた。芯の部分が一番甘いと伝えたら、担当者は「じゃあ、使いますか」と、上手に使ってもらえてありがたい。
石井 東近江の気候で培われた、芯までの甘さ、食感をどう生かすかは、メーカーの仕事。毎年同じ味付けでなく、今年は地元で親しまれる「近江ちゃんぽん風」。
また、旬を味わってもらう期間限定の商品にこだわりがあり、「寒くなってきたからそろそろ東近江キャベツハンバーグが出ているな」と季節を感じてほしい。
――今後の展望と期待は。
大林 食べる行為は人にとって一番大事で、その食に関わる農業は最も大切な産業と自負している。その役割を果たすためにも、生産者と消費者の相互理解は重要だ。その点から、石井食品さんの提案は的(まと)を得ており、生産者と消費者の双方にアピールできる。今後も、農業者よし、消費者よし、世間よしの三方よしを目指したい。
田中 農業の後継者不足は、子どもの頃から「農業は儲(もう)からない」と聞かされ、継ごうと思えない環境で育ったのも原因ではないか。三方よしの地産地消を進めるためにも、しっかり生活できる農業を子どもたちに見せることで、憧れの職業にしたい。
石井 我々の中期経営目標は、「日本一生産者と地域に貢献する食品会社」。三方よしのサプライチェーンをどうつくるか、それがミッション。一方、食は根源的な楽しみで、老若男女に関係ない。食に関わるプロジェクトは魅力があり、大いに「地産地消」に貢献していきたい。
地域と企業の連携を応援します
東近江市長 小椋 正清
私たちが毎日の食事でいただいている野菜などの農産物について、その生産地を意識することは少ないのですが、石井食品さんの「地域と旬のプロジェクト」は、生産者と消費者を近づけていただくすばらしい取組であると思います。こうした取組が企業によって推進され、東近江市のおいしい野菜の地産地消が広がることを期待します。














