県平和祈念館「平和教養講座」
【東近江】 県平和祈念館(東近江市下中野町)平和教養講座が21日開催され、講師の同志社大学〈奄美―沖縄―琉球〉研究センター研究員、森亜紀子氏が「南洋群島における戦争―植民地支配の歴史を学び直す」をテーマに、戦後80年を迎えようとする中で非体験者による戦争体験の継承について問題提起した。
同志社大奄美沖縄琉球研究センター研究員
森亜紀子氏「南洋群島」を事例に講演
南洋群島は、日本が第一次世界大戦でドイツ領だった西太平洋の島々を占領し、国際連盟から「南洋群島」として統治を委任された島々を指し、マリアナ、パラオ、カロリン、マーシャル諸島から成る。
日本から沖縄県を中心に多くの移民が送られ、国策としてサトウキビの栽培が盛んに行われた。太平洋戦争中には住民を巻き込んだ日米両軍の地上戦が繰り広げられ、戦没の多くの原因は餓死によるものとされる。
講座の中で森氏は、戦争体験を「学びなおす」入口として、沖縄近現代思想史研究者の故・屋嘉比収氏(ヤカビ・オサム、沖縄大学准教授)の著書から「もはや問題は、体験者の語り手側にあるのではなく、それを継承しようとする非体験者である私たち聞き手側にあるのではないか」とする言葉を挙げた。
さらにポイントとして、(1)両義的立場にある息子・娘たち世代がいかに想像力を喚起できるか(親世代から戦争体験を聞く立場であり、孫世代に伝える立場でもある)、(2)沖縄戦や米軍占領という大きな物語ではなく小さな物語から考える、(3)自己(共同体のマジョリティ)の声ではなく他者の声をいかに聞くか―の3点を示した。
サイパンにおける「戦争体験」を学びなおすでは、沖縄出身の元サイパン住民(幼少期)が民間人の集団自決に巻き込まれた際、朝鮮半島出身者が結果的に身代わりになったため助かったという体験談や、先住のチャモロ族の人々がスパイと疑われて日本兵に殺害されたという体験談を紹介した。
この上で、森氏の問題意識として、「戦争体験を語るとき、日本の植民地時代を『平穏だった』『楽園だった』と語られがちなストーリーがある。しかし、戦争を知るには植民地化の目的を知ることが大事だ」と指摘した。







