世界農業遺産審査委員が県内を現地調査
【全県】 世界農業遺産の認定を目指している県の「森・里・湖(うみ)に育まれる 漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」に関し、このほど同遺産を認定する国連食糧農業機関(FAO)審査委員のパトリシア・ブスタマンテ氏が来県し、琵琶湖との共生で現代に受け継がれている県内各地の取り組みを現地調査した。
世界農業遺産とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり発達し、形作られてきた伝統的な農林水産業と、それに関わってきた育まれた文化、景観、生物多様性などが一体となった世界的に重要な農林水産業システムをFAOが認定する仕組みで、現在、世界で65地域、日本国内からは11地域が認定されている。
県では、水田営農と深く関わりながら発展してきた県内の伝統的な内水面漁業を中心とする第一次産業の姿について、2015年度から同遺産認定を目指した取り組みを推進してきており、18年にはその姿を「琵琶湖システム」としてとりまとめ、世界農業遺産認定の前段階となる国の日本農業遺産に申請、翌19年に国から認定され、引き続いて取り組みを進めてきた。
今回、来県したブスタマンテ氏は、ブラジル農政公社で勤務する農業者で、ブラジルの世界農業遺産では農業生物多様性の保護と保全に貢献。16年からはFAOの同遺産科学助言グループのメンバーも務めている。
調査当日、ブスタマンテ氏はまず、今津サンブリッジホテル(高島市今津町今津)で「琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業推進協議会」会長を務める三日月大造知事らから「琵琶湖システム」の概要を聞き、今津港から船でエリ漁を見学。船内で高島市内などに残る「かばた」文化などの話を聞き、続いて、琵琶湖で唯一、生活している人たちのいる島・沖島(近江八幡市沖島町)で地元漁協や島民らと交流。その後、魚のゆりかご水田(野洲市須原)に移動し、琵琶湖の生物と共存した農業の説明を受け、最後に県立琵琶湖博物館(草津市下物町)で世界農業遺産の有識者らと共に総括・質疑応答を行った。
各調査地点では、地元住民らがブスタマンテ氏を歓迎し、熱心に魅力を伝えた。1日で県内をほぼ縦断して調査した同氏は「世界農業遺産の認定にふさわしいと感じた。FAOの審査会に持ち帰って協議を進めたい」とコメントしている。
県農政水産課では「県内の農業の魅力や生産者の声をしっかりと発信しながら、FAOからの連絡を待ちたい」と期待している。









