角野文彦・県理事に聞く
【全県】 政府は1日、新型コロナウイルスの感染が急拡大している大阪府、兵庫県、宮城県に対し緊急事態宣言に準じた「まん延防止等重点措置」(まん防)の初適用を決め、5日から5月5日まで飲食店の時短などに取り組むことになった。三日月大造知事も2日、大阪、兵庫のまん防対象地域への不要不急の外出を控えるよう県民に要請した。そこで県のコロナ対策の司令塔である角野文彦理事に、第4波に向けての体制整備を聞いた。(石川政実)
―県は3月29日、コロナ感染対策本部員会議を開き(1)高齢者施設や医療機関などで感染者が確認された場合、全員に原則検査(2)感染者が出た高齢者施設などの状況や地域の発生状況により、一斉・定期的な検査(3)感染者が多数発生したり、クラスター(感染者集団)が起ったりしている地域で、感染が拡大しやすい場所・集団への検査―の実施を決めた。これは積極的検査への転換か。
角野 方向転換ではない。今までやってきた検査を拡充するものだ。例えば(3)では、すでに県は先月、彦根市の歓楽街「袋町」の飲食店の従業者を対象に実施した。結果は、約150人全員が陰性だった。今後も、このような一斉調査を行っていく。
―それなら(2)を拡大解釈し、感染者が出なくても、高齢者施設などで一斉・定期的な検査をして無症状者を見つけてはどうか。
角野 県は今まで感染者が出ない場合は、一律・定期的な検査を実施してこなかった。今後もそのスタンスに変わりはない。
これまでの知見では、コロナ感染者の8割が無症状かつ軽症で、しかも人にうつすことが極めて少なく、自然と治っていることも多いことがわかっている。残りの2割が症状もあって、人にうつす可能性が高い。この中には重症化して死亡する人もいる。大事なことは、症状のある人を疫学調査で徹底的に追って感染者を見つけることだ。県のように人口密度が低い地域では、やみくもに無症状者を追うのは得策でない。
―厚生労働省が3月31日までにまとめた新型コロナ感染状況の指標(本紙4月1日付参照)では、滋賀県は各指標がほぼ全国平均を下回ったのに対し、PCR検査の陽性率だけは、宮城県(8・8%)山形県(5・6%)に続いて、滋賀県は4・5%と全国3位だった。陽性率が高いことに対し「滋賀県では感染者が発生した場合、濃厚接触者に絞ってPCR検査をしているためだ。結果的に無症状感染者を見逃しているのでは」との推測がある。
角野 厚労省の感染状況の指数だが、この時点のPCRの陽性率は、各都道府県とも10%以下の「ステージ2」のレベルであることだ。例えば、高血圧だったら、軽度の高血圧の範囲と言える。
また人口10万人当たりの県内の新規感染者数が増加した3月上旬においても、経路不明者の割合は1日当たり平均で2人前後と低い数値でずっと推移している。つまり感染者やクラスターが発生した場合、県は濃厚接触者以外の接触者を幅広く疫学調査して把握しているからこそ、陽性率は当然、高くなる。
しかし、仮に無症状者を見逃していたなら、もっと感染経路不明者が増加しているはずだ。
確かに昨年4月の第1波のころは、PCR検査(行政検査)を行う県衛生科学センターの検査能力が1日75検体に過ぎなかった。だが現在の行政検査能力は、同センターが1日平均約100検体、そこに滋賀医大への検査委託分、19の県内病院分などを含めると、1日当たり720検体まで拡充した。
このため昨年9月からは濃厚接触者だけでなく、濃厚接触者に準じる人、あるいは、たとえ無症状であっても必要に応じて検査をしている。
―直近の3月25日から4月3日までの10日間、県内感染者の1日平均が12人に対し、県のPCR検査による行政検査の1日平均が57人となっているが、これは少なくないか。
角野 厚労省がまとめた都道府県別の1月15日から3月27日までの、人口千人当たりのPCR等の検査陽性者数(一部自治体は抗原検査を含む)では、滋賀県が18番目であり、他府県に比べて検査数が少ないことはない。
―変異ウイルス対策が喫緊(きっきん)の課題だが。
角野 現在、変異株をふるい分ける検査は、県衛生科学センターが陽性と確認した人を調べているが、これからは自前施設でPCR検査をしている県内病院にも検体を提出してもらい、全体の4割以上に調査を引き上げる。また今後、変異ウイルス感染者を宿泊療養施設で受け入れる際のフロア運営なども検討する。
―ぜひとも県にはさらにPCR検査の抜本的拡充を求めたい。
(連載終わり)







