「たて割り」を打破せよ 感染症対策の最前線の保健所
【全県】 新型コロナの猛威が地方に迫っている。そこで感染対策の最前線を担う各地の県保健所が、「第1波」の際、人手不足でパンク状態となった反省を生かし、今回の感染急拡大にどう備えるのか探った。(高山周治)
県内の保健所は、感染が広がり始めた昨年の春先、急増する業務に人手が足りず逼迫(ひっぱく)した。
当時、担っていた業務は、▽帰国者・接触者相談センターの電話相談、▽PCRの受け付けと検体搬送、▽感染経路を追跡する積極的疫学調査、▽感染の疑いのある人を診察する医療機関への調整、▽患者の入院調整―など多岐にわたり、電話がつながらずPCR検査が増えない要因の一つとされた。
昨年3月16日、東近江保健所では県内2例目の感染が確認され、電話相談はこの日だけで128件に上った。対応した保健師の一人は、「四六時中、電話が鳴りっ放しの状態だった」と、当時の負担を振り返る。
業務のピーク時は、保健師9人では対応しきれず、ほかの医療系技術職(薬剤師など)5人を支援に回したほか、非正規の会計年度任用職員を採用して山場を乗り切った。
さらに事務職員は、検体搬送や患者の病院搬送に従事するなど、総力戦の様相を呈した。
人手不足の背景には、1990年代以降、行政改革のもと全国で進められた保健所の統廃合にある。県は1997~2011年、県内9カ所あった保健所を7カ所に統廃合。役割についても、県が難病・精神・感染症、市町が子育て・健診を担う「たて割り」を進めた。
県保健所の職員数(大津市所管の保健所除く)は、統廃合前の1996年度の205人から2020年度の133人へと減少した。
このような体制で襲来したコロナ禍。県は昨年4月、運営効率化を図るため、入院調整を一元的に行うコントロールセンターを県庁に設置。さらに昨年11月からは、発熱症状のある患者がかかりつけ医など近くの診療所で診療やコロナの検査を受けられるようにする指定医療機関402カ所を設けた。
東近江健康福祉事務所(東近江保健所)の城野達也次長は「職員が増員され、業務も整理され、疫学調査に集中できるようになった」と話す。ただ、感染者数が流行当初と比べて急増している上、増加する自宅療養の無症状患者の健康観察は保健所の担当のため、仕事量そのものは減少しておらず、県内全域でクラスター(感染者集団)が多発すれば、感染経路が追跡できないなど業務パンクは必至だ。
県議会で保健所のあり方を質問した県議は、人手不足の解消に向けて、県と市町の連携を提言する。「たて割りの弊害をなくし、公衆衛生業務で協力しあうことが課題」と指摘する。








