診療所 検査をすればするほど赤字
【全県】 県内の診療所では、防護服を身にまとい鼻の奥に綿棒を差し込んで採取する検査などを行っているため、受診者のせきやくしゃみの飛まつで感染するリスクにさらされている。
さらに検査をやればやるだけ経営が悪化するジレンマも抱える。
湖南地域の開業医によれば、コロナの抗原検査をした場合、保険点数で6千円を受け取れるが、試薬代として5千円かかる。差し引き千円だが、そこに防護服や手袋代などを引けば利益はほとんど出ない。飛まつのリスクが低い唾液のPCR検査では、保険点数が1万8千円だが、検査会社に検査を依頼すれば1万5千円かかる。差し引き3千円だが、そこから容器代などを別途支払えば、利益は1件あたり2千円にも満たないという。こんな開業医らの感情を逆なでする出来事があった。
●県総が救急拒否
昨年9月ごろ、発熱患者(高齢男性)の妻らが県立総合病院(守山市、略称・県総)に救急搬送を申し込んだところ、「いまコロナ対応に忙しくて受けられない」と拒否された。
この男性は以前から肺炎を患っており、同病院はかかりつけの病院だったのにだ。結局、栗東市の済生会滋賀県病院が受け入れた。
竹村健県議が同年12月8日の県議会一般質問で県総の対応をただしたところ、宮川正和病院事業庁長は「他の救急患者の対応中であったことやコロナ患者の対応後、換気のためしばらく処置室が使えない場合があり、院内感染に万全を期す必要のためだった」と釈明。
開業医からは「われわれは感染リスクにおびえながら発熱患者の診療や検査を行っているのに。何のための県立病院か」との声も。さらに批判は、県の検査体制にも及ぶ。
●検査数のマジック
既報(先月24日付)の通り、県は昨年11月から、1日の検査(能力)体制を10月末でピーク時において3465件(1日平均2000件)に拡充するとしている。このうち診療所は1730件と約半分を占める。検査数の根拠になっているのは、「検査する」と県に手をあげたとする249の診療所だ。
県は9~10月にかけて、診療所対象に「必ず検査する」「将来的に検査する可能性がある」「検査しない」などに分けたアンケート方式の意向調査を実施した。県によると、10月末時点で「検査する」と答えたのは75診療所、「将来、検査をする可能性がある」が174の診療所だった。しかし県はこれらを合計した249の診療所が「検査する」として、診療所の1日の検査体制を1730件とはじき出したのだ。
ちなみに昨年11月の診療所の1か月の検査実施件数は750件で、「必ずやる」と回答の75診療所のうち40診療所、「将来的にやる可能性がある」と回答の174診療所のうち100診療所がそれぞれ検査を実施していた。
県では「『将来、やる可能性がある』と回答した174診療所の約6割が検査を実施してくれた。今後もさらに増える」としている。
東近江市の開業医は「うちは『将来的に検査をする可能性がある』と県に回答したのに、もし勝手に『検査する』に県がカウントしているなら、それはおかしい」と不信を募らせる。
県はもっと診療所との連携や支援に努めるべきだ。(石川政実)=連載終わり=







