他所へ広げないことが最優先 現場からは人手不足の声も
【全県】 新型コロナウイルス感染症の新規陽性患者が多く確認される要因の一つに、クラスター(集団感染)の発生が挙げられる。発生場所を管轄する保健所などでは人員不足の中で膨大な検査、調査をすることになり、その他の業務にも影響が出始めている。改めて県内のクラスター対応の状況についてまとめた。(羽原仁志)
●第1波と最近の違い
厚生労働省ではクラスターについて「同一の場において、5人以上の感染者の接触歴等が明らかになっている場合」を定義の目安として設定し、発生したか否かの判断は人数に関わらず各自治体に委ねている。
県では厚労省の目安と各事例に応じて発表しており、7日現在、県内で確認された家庭内以外のクラスターは、4月に草津市内の事業所と同市内の歯科医院、5月に大津市役所、7月に甲賀市内の専門学校の寮と近江八幡市内の会食会場となっており、8月に入ってからも甲賀市内の特別養護老人ホームと草津市内の医療機関での発生が確認されている。
前半の3事例とそれ以降の違いについて、県健康医療福祉部の角野文彦理事は「福祉施設や医療機関の利用者といった弱者に関係する場所で発生しているのが大きく違う」とし、「どの事例も他所へ広がらないように対応することが最優先」と述べる。
県では、疫学を専門とする職員らを中心にクラスター支援チームを結成し、発生時に現地での調査方法や施設内の区分け、関係者の健康観察などについて保健所や市町に指示や助言を行っている。
●現場の意見
専門学校と会食でのクラスターが連続で発生したことを受け、7月27日に開かれた県の同感染症対策本部員会議に、現場で対応に当たっていた保健所の職員がWEBで参加し、県へ意見を伝えた。
専門学校のクラスターを対応した甲賀保健所からは「施設調査で人手が足りず困った。県の専門家も数が足りない。また、患者の情報をオンラインで管理する国のシステム『ハーシズ』の使い勝手が悪い」と報告、会食クラスターを対応した彦根保健所からは「多様な場所から参加者のあった会食の調査ではとりまとめに苦労した。また、市町名の公表に関して、あらかじめ県や市町から一定の方針が示されていなかった」、両クラスターの濃厚接触者の調査などを行った東近江保健所から「より一層の感染防止策徹底の周知をしてほしい。また、クラスター関連で所管する感染症指定病床が満床になり、外来診療などにも影響が出かねないので他の管内の医療機関へ移ってもらうことが必要だ」と報告した。
各保健所からの意見を聞いた三日月大造知事は「体制強化に向けてしっかりと検討し、個人の人権や尊厳を守っていく中で対策を迅速に行っていく」と述べている。







