介護施設 最大の課題は人員不足
【全県】 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、全国各地の老人介護施設で集団感染をもたらした。感染者が再び増加している今、重症化しやすい高齢者への感染を防止するため、県内の施設はどう備えるのか。現状と課題を整理した。(高山周治)
ノロ同時発生、集団感染に警戒
施設間で応援派遣の仕組み検討
「第2波が予想以上に早い」。7月下旬、東近江市内で特別養護老人ホームと老人保健施設を運営する社会福祉法人の理事長は、再び急増している県内の感染状況に表情をくもらせた。
「面会制限を始めた春先は、入所者の家族から悲痛な声が上がった。せっかく制限を解除したが、再び制限せざるを得ない」と残念がった。
第1波で感染が急増した今春は厳戒態勢が続いた。マスクは品薄で一気に高騰。この施設では、マスクなどの物品購入費がこれまで年額50―60万円だったのが、500―600万円にはね上がる見通しだ。
県老人福祉施設協議会(老施協)が6月に実施した緊急アンケートでは、回答のあった44施設のうち、7割以上の33施設が「減収などに影響」と回答した。
これについて同施設の理事長は、「新型コロナの収束の先行きが見えない中、県からの長期的な支援が必要だ」と指摘する。
そして最大の課題は、人手不足だ。平時でも不足気味の介護職員が、集団感染といった非常時にはさらに不足するのだ。
患者は原則入院だが、PCR検査の結果待ちや濃厚接触の場合は、施設内で療養する可能性が高い。この場合、施設内を感染と非感染の区域に分け、感染の疑いのある入所者は「赤エリア」で療養する。
赤エリアのケアは、通常の人員配置基準でなく、それ以上の手厚い対応が求められる。さらに防護服を着用してのケアは疲労が激しく、勤務時間を短縮するなどの工夫が必要で、多くの交代要員が必要となる。結果的に、一般の入所者が入る「緑エリア」の介護スタッフが不足する。
これについて理事長は、「今後は、新型コロナだけでなく、インフルエンザとノロウイルスの同時流行の可能性もある。行政・医療・施設の役割分担の枠組みをつくることで人手不足を解消するとともに、保健所との連携のもと発熱時のPCRの迅速な検査体制が求められる」と指摘する。
これを受けて県老施協と介護事業団体は、先進県を参考に、他施設から応援職員を派遣する仕組みを検討している。施設療養の場合、感染の疑いのある入所者が入る「赤エリア」は外部支援の医療スタッフと自施設の職員が担当し、一般の「緑エリア」は他施設からの応援が入る。
県老施協の担当者は、「各施設は人員不足で厳しい状況だが、非常時は助け合いが必要。丁寧に説明して理解を求めたい。できるだけ早く具体化し、今秋には仕組みをスタートさせたい」と話している。







