「日本人の心を見直す時代に」即位の礼に合わせ公開
【東近江】 22日に行われた天皇陛下の即位に伴う儀式「即位礼正殿の儀」では、厳かな儀式や即位の宣言のほか、天皇皇后両陛下が召す束帯衣装にも注目が集まった。五個荘近江商人屋敷の中江準五郎邸(東近江市五個荘金堂町)では、天皇陛下が着用した「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」など、即位礼正殿の儀をイメージして製作されたひな人形が22日限定で公開された。一目見ようと訪れた多くの来館者で屋敷内は祝賀ムードに包まれた。
東近江市五個荘竜田町に工房を持ち、ひな人形のデザイン性や質の高さに評判がある人形師の東之湖=とうこ=さん(48)が製作した。これまでに、滋賀の景勝地「近江八景」をモチーフに製作したひな人形「清湖雛(せいこびな)」シリーズを毎年発表し、また、東日本大震災被災地の復興を願って製作した「絆雛(きずなびな)」を被災地に毎年贈るなど、ひな人形に様々な思いを託した製作活動にも力を注いでいる。
年号が「令和」に変わった5月には、「日本人の誇りと伝統文化の『和』を持った新しい時代になれば」と、11月14、15日に行われる大嘗祭(だいじょうさい)で天皇が召す麻の束帯「麁服(あらたえ)」をモチーフにした「令和雛」を発表。万葉集でも詠まれ、古来より神聖なものとして扱われてきた大麻(へんぷ)をひな人形の束帯に使用するなど、話題を呼んだ。
令和雛に続き、即位礼正殿の儀で着用される黄櫨染御袍と十二単(ひとえ)を今作のひな人形で表現した。黄櫨染御袍とは、天皇のみに許された服の色や文様、織物の種類が施された束帯で、光によって赤褐色・黄褐色にも見えることから天子の御衣の色とされている。
文献や過去の写真をもとに6月から製作し、10月に完成。東之湖さんが製作するひな人形は、平安時代から伝わる装色衣装の着方を基本にしており、今作でも忠実に表現した。「凛としたたたずまい、両陛下が持つ優しさ、若さをイメージしました」と話す通り、たたずまいや顔の表情などにもこだわりが見える。
また、黄櫨染御袍とは違い、皇后さまが召す十二単の細かな色や文様は当日まで分からなく、上皇后さまの十二単姿や皇后さまの印象や公務などで着用される衣装を参考に、主な部分に明るめの萌黄(もえぎ)色を使用。実際に皇后さまが着用した十二単も萌黄色が多く施されていた。
今回のひな人形はこの日限りの公開で、鑑賞に訪れた市内在住の木村純三さんと恵梨子さん夫婦は「貴重な機会。両陛下の印象に合う優しい色合いで、厳かな雰囲気が非常によく伝わる」と感心していた。
東之湖さんは「平和になっていくなかで、日本人である心を見直していける時代になっていけば」と人形に託した思いを語る。






