県政NOW 「子どもを貧困と虐待から救う」
今、子どもの6人に1人は貧困状態にあるといわれ、また、児童相談所での児童虐待相談の対応件数は児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べて平成26年度では7.6倍に増加しています。平成2年度との比較では約100倍にもなりますが、その間に児童相談所の職員数は約2.7倍の増員しかされておらず、現場の状況は大変厳しいものとなっています。中途で離職する人も多く、今も児童福祉の現場を担う人材が不足しています。
先日ある研修会に参加し、福井県越前市で児童養護施設・児童家庭支援センター「一陽」の総括所長をされている橋本達昌さんの講演をお聞きする機会がありました。この施設の前身は越前市となる前の旧武生市立でしたが、市の財政負担が大きいため、合併を機に両施設を廃止し、入所児童を他の施設に分散させる案が浮上したそうです。これでは虐待や貧困など大人の事情で施設に来た子どもたちが離れ離れになってしまう、また、施設で働く多くの臨時・非常勤職員が職を失うことになる。「これはおかしい」ということで橋本さんを中心に労働組合が新たな社会福祉法人を作り、施設運営をすることになったそうです。設立資金は市民の皆さんから一人一万円の寄付を募って確保し、設立当初は公立でも私立でもない「市民立」あるいは「労働者立」の児童養護施設としてマスコミからも注目されたそうです。
今では老朽化した施設を役職員全員が力を結集して建て替えし、大舎制でない全施設グループケア5ホームで構成する施設として生まれ変わったそうです。
橋本さんのお話によるとこうした児童養護施設に入所している子どもたちの背景として共通するのは家庭の貧困です。2062万人の全国の子どものうち貧困状態にあるのが約300万人、その内の約30万人が生活保護世帯、そして約3万人が全国約600か所の児童養護施設で暮らしています。児童養護施設はかつて戦災孤児など親のいない子の養育が目的でしたが、今では親の病気、貧困、虐待による入所が多くなっています。発達障害を持つ子どもも多くなっており、また、入所児童の保護者が児童養護施設出身者であるという「負の連鎖」もあります。
昨今、「子ども食堂」や「生活保護世帯の子どもへの学習支援」などに取り組むNPOや市民団体の活動が注目されていますが、橋本さんの言葉を借りると子どもの虐待防止や貧困対策を進めるのは市民力、現場力であり、「できることからはじめよう。一人ひとりの子どもたちに評論家はいらない。」という思いが重要だと思います。子どもたちに寄り添う支援の形が社会全体に広がることを期待し、滋賀県でもそのための支援を進めていきます。






