県政NOW 「安心安全な公的資金の運用について。」
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の昨年度の運用実績が約5兆3千億円の赤字となり、また、今年度の第1四半期でも5兆円を超える赤字となっていることが明らかになりました。GPIFは安倍政権の主導のもと一昨年10月に運用方法を大幅に見直し、株式への投資割合を倍増の50パーセントとし、その結果として国内株価の下落や円高を背景にこのような赤字が生じました。GPIFの理事長は長期的な観点で運用しており、短期的に市場価格が上下しても支障がないという趣旨のコメントをされているようですが、果たして国民の皆さんは納得されているのでしょうか。というより自分たちの年金の掛け金によってこのようなリスクの高い運用をされていることをご存じない方が多いと思います。もし、こうした運用が安倍政権の進める株価の押し上げや円安促進のため利用されたということであれば、まさに国民不在の不誠実な対応といえるでしょう。
これまで公的資金の運用方法については自治体においても多くの問題が生じています。十数年前近江八幡市民病院で行われた内部留保資金による債券運用でも大きな損失が生じました。それは外国債による運用で為替レートの推移によって大きな含み損が出たケースです。その結果、運用にかかわった数名の職員が処分され、有識者による検証などを経て安全な管理運営要綱が新たに策定されました。
もちろん、公的資金を運用して利益を得る努力をすることは公益に資するものですが、しっかりしたガバナンスを確立し、安全を第一としたルールのもとに行わなければなりません。
例えば兵庫県の公的資金の運用指針では「県民等に対する責務を自覚し、運用にあたっては安全有利であることはもとより、中長期的に運用資産全体の硬直化が起こらないものとする」という趣旨の心構えが述べられ、外部有識者による管理委員会が強力な指導助言を行うことも定められています。
今回の年金積立金の株式運用による赤字を見るにつけ、そもそも140兆円にも上る巨額の積立金の運用が正しいのだろうか、と思います。このような巨大ファンドは少なからず経済全体に対して不自然な影響を与えるでしょうし、何より運用の失敗が国民の皆さんの年金額に影響することになれば、国民生活自体が破たんしてしまいます。
以前、この欄で年金額が低いため厳しい生活を強いられている下流老人の実態を取り上げさせていただきましたが、国も地方自治体も国民を飢えさせないためにその責任を自覚し、行動しなければなりません。このことを改めて痛感したところです。






