近江八幡市長 冨士谷 英正
前回の自治刻々に「『東京一極集中』の是正は国の使命」とのタイトルで一筆啓上いたしました。地方で雇用創出ができれば、特に若者の地方からの流出防止策として効果は大なるものがあり、その施策のひとつとして大学や研究機関、或いは東京に本社機能が集中する大企業の地方への移転促進が考えられ、これらの構造的な問題の解決は国の大きな使命であると述べてまいりました。そこで今回は、諸外国で同じ課題を抱えての成功例を紹介したく存じます。
アメリカにデラウェアという人口約94万人の滋賀県より小規模な州があります。この州には、デュポン、IBM、アリコ、アップル、コカ・コーラ、フォード、GE、グーグルといったニューヨーク証券取引所上場企業の半数以上が本社を置いております。では、何故これらの有名企業がこぞってデラウェア州に本社を置くことになったのか。その理由は次の3つの優遇制度にあるといわれております。
まず1つ目は、事務所設置や最低資本金等の義務がなく、会社の設立費用がアメリカで最も安いとされていること。
2つ目として、州外の事業は非課税とされ、さらに商標や著作権等の収益にかかる税金をゼロとする税制面での優遇措置があること。
3つ目として、特許等企業法務を専門に扱う裁判所が設置されていることであります。このデラウェア州のように、地方都市が独自に企業に有利となる制度を整備することができれば、企業はいくらでも集まってきます。
ところが、日本では税制度は全て法律で定められております。平成14年に国が創設した構造改革特区制度でさえも、地方活性化のための規制緩和をうたっておきながら、税に関する事項は「検討対象外」とされており、実際のところ地方が東京に対抗しうる魅力を新たに創出しようとしても有効な手立てはなく、私ども自治体は正に身動きがとれない状態であります。だからこそ私は、国が地方に知恵を出せというだけでなく、国自身が真剣になって東京一極集中の是正策を考えるべきであると、今後とも全国市長会等において発言したく思っております。






