5千人収容アリーナへの税金投入の是非(中)
嘉田由紀子前知事は平成二十五年の二月県議会で、三十六年に予定されている国民体育大会(国体)を滋賀県に招致する方針を表明した。
政界筋は「国体誘致は、自民党の重鎮で県体育協会の会長でもある河本英典氏らの顔を立てることで、嘉田氏は三選に向けて同党との修復を図ろうとしたのでは。しかし、それは将来、国体の施設整備を巡るスポーツ利権というパンドラの箱を開けることにもなる」と受け止めていた。華やかな国体準備の陰で、福祉関係者からは「福祉にカネが回らず、切り捨てられるのでは」との懸念が出始めている。【石川政実】
●県政は歪んでいる
志位和夫・共産党委員長は四月五日、県議選候補の応援のため、大津市のパルコ前で演説した。
「滋賀県の人口一人当たりの『住民税』は全国の都道府県の中で十番目に高い。それなのに福祉などに使われる人口一人当たりの『民生費』は全国で四十位、六十五歳人口十万人当たりの『老人ホーム数』は全国で最下位の四十七位、一世帯当たりの『国民健康保険料』は近畿で最も高い。また『子どもの医療費無料化』も、兵庫県では中学三年生まで、お隣の京都府も小学六年生まで無料化しているのに、滋賀県は(小学校)就学前までしか無料化になっていない。逆に大企業には百四十五億円もの企業立地助成金(平成十五年からの累積)を出したりと、県政は歪(ゆが)んでいる」と激しく批判した。(なお志位氏が紹介した統計数字の大半は平成二十四年度。また県によれば、立地企業助成は予定を含めて平成十五年から現在まで百五十億円)。
●綱渡りの一時保護
志位委員長が「歪み」と表現した福祉の実態をのぞいてみよう。その一つに、親などから虐待を受けている子どもたちを一時保護している県中央(草津市)と県彦根(彦根市)の子ども家庭相談センターがある。
中央相談センターでは「定員は二十人だが、いつもいっぱいだ。それを超える場合は、やむなく定員の一割増しで受け入れている。それでも足りない場合は、県内の養護施設に保護委託している状況だ。最近は一人の在所日数が三十日を超えて長期化しており、他の子どもたちが入りにくくなっている。できるなら定員を増やしてほしい」と言う。
彦根相談センターも「定員は十二人。現在六人を一時保護で預かっているが、男女別に部屋を分けると、全室満杯の状況だ。貧困家庭の増加なども手伝って、児童虐待が急増している。当センターの昨年度の一時保護の入所延べ人数は三千百七十二人(前年度比二三%増)、一日平均八・七人とほぼ満杯状況」と頭を抱える。
●里親拡充では限界
県内の福祉関係者は「県では増え続ける子どもの一時保護に対し、相談センターの定員を増やさずに、里親制度や外部の養護施設への保護委託で対応する腹だが、虐待から子どもの命を守るにはそんな小手先では無理だ。プロバスケットチームのために百億円の県立体育館をつくるぐらいなら、せめてその一割でも県の福祉施策にカネを回せば、どれほど多くのひとが救われることか」と訴える。







