日野町長 藤澤 直広
「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」在原業平が詠んだ桜を愛でる歌です。高校の古典の授業で習った記憶があります。春本番、満開の桜の花びらが風に舞い、ウグイスのさえずりとともにトラクターのエンジン音が聞こえてきます。
農作業が始まりました。昔と比べれば、ずいぶん機械化が進みましたが、田植えをするまでには、畦を塗り、水をはり、土を耕し、代掻きをします。かつては、棚田で泥まみれになって耕耘機のロータリーをまわし、足場板を引っ張り代掻きをしました。西に沈む夕陽が平らにならした田面に輝きました。米という字は「八十八」で構成され、米を作るには「八十八」もの手間がかかると言われています。「地道にコツコツ」手間をかけ働き、稔りの秋を迎えるのです。
障害者の雇用を支援する「東近江圏域、働き暮らし応援センター」は「働く」という字を「イ(にんべん)=人」の思いが「重」なって大きな「力」になると説かれています。「地道にコツコツ」の対極にあるのが「博打」(刑法185条=賭博罪)です。時代劇の丁半博打で町人が身上をつぶし、「これからは真面目に働きます」と更生する場面がよくでてきます。ところが今、博打場を「カジノ」と呼び、誘致しようという動きがあります。博打(カジノ)が経済や地域の活性化とは本末転倒です。「地道にコツコツ」働くこと、暮らすことこそ大切にされ報われる社会をつくらなければなりません。
NHK朝ドラ「まれ」がスタートしました。「まれ=希」はヒロインの名前で、「まれ=めったにないこと=夢」夢を追ってほしいと名付けられました。ヒロインは、父親が夢を求めて失敗ばかりし、自己破産に追い込まれたことから夢が嫌いで「地道にコツコツ」をモットーにしています。でも「地道にコツコツ」こそ「夢」の実現への道だと思います。入学式、入社式、真面目に働き暮らす人々の夢がふくらみ、花開く社会をつくるために力を合わせましょう。






