日野町長 藤澤 直広
特急ふじかわ3号は、静岡駅を出発し駿河湾沿いを走り富士駅から富士山に向かい、やがて富士川沿いに遡上し晩秋の甲府をめざします。富士山や南アルプスを水源とする富士川の水は豊かでエメラルドグリーンに輝いています。紅葉の谷間をぬけると甲府盆地が広がります。甲府とは甲斐の国の府中(政治を行うところ)という意味。甲斐の国といえば武田信玄。富士川上流の激流を治めた「信玄堤」は現在も河川工学上、評価されています。洪水対策だけでなく、農業用水としても活用され甲府盆地を潤しました。また、山梨県は果樹農業が盛んでブドウの産地です。NHK朝ドラ「マッサン」にでてくる鴨居欣次郎のモデルのサントリー創始者鳥井信治郎氏もここでワインを製造しています。いつの時代も農業は大切な国の要です。
そうしたこの地で第38回全国土地改良大会が開催されました。全土連の会長は、かつて内閣官房長官、自民党幹事長を務めた野中広務氏です。開会挨拶では農業問題に触れTPP交渉に懸念を表明されました。野中氏は戦争を経験されており憲法の大切さを胸に刻んでおられ集団的自衛権についても容認すべきでないと明快です。
ところで、山梨県にはリニア新幹線の実験線があります。時速500kmをこえるスピードはさすがに速い。しかし、9兆円もの事業費と膨大な電力を要し、85%以上がトンネルで南アルプスやフォッサマグナをぶち抜く計画は「自然を畏れぬ人間の奢りでは」という声もあります。リニアの営業は現在の新幹線や在来線の経営・採算に大きく影響し存亡にもかかわります。便利さばかりを追い求めることから抜け出すことも必要なのではと思います。
「人は石垣、人は城」人の力を信じ、人を大切にした信玄の言葉は今に生きるもの。冠雪をいだく富士山は思わず「てっ!」と言いたくなるほど美しい。人々が心豊かにそして、力を合わせ、自然とともに生きることこそ真の地方創生なのではと思います。






