日野・東近江でフォーラム&講演会
◇東近江・日野
住民一人ひとりが望む場所で最期が迎えられるような地域づくりに向け、「住み慣れたまちで安心して看取りを迎える市民フォーラムin日野町」が十九日に日野町町民会館わたむきホール虹大ホールで催された。また、翌二十日には、自宅で大往生するための理解と準備をテーマとした「地域福祉講演会」が東近江市てんびんの里文化学習センターホールで開かれた。
●看取りにスポット
東近江圏域医療福祉推進地域協議会・東近江健康福祉事務所・東近江介護サービス事業者協議会介護支援部会共催の“市民フォーラムin日野町”で、藤澤直広・日野町長は「人が人として最期まで尊厳が保たれる社会を実現しなければならない」とあいさつし、東近江健康福祉事務所・瀬戸昌子所長が「命の終わりをどこで迎えたいか、みなさんが考える機会にしてほしい」と投げ掛けた。
第一部では、ヴォーリズ記念病院ホスピス希望館の日常をつづったドキュメンタリー映画「いのちがいちばん輝く日―あるホスピス病棟の40日―」を上映。残された時間を直視しながら、家族そして医療スタッフが一丸となり、患者本人の望みに寄り添い続け、最期に「ありがとう」と言って見送る姿は、死への恐怖心を打ち消すほどの輝きを放っていた。
看取りの現場を垣間見た後、参加者約百人は、近江八幡市蒲生郡医師会長・河村英生医師と医療法人社団昴会訪問看護ステーションひの所長・瀬川康子看護師、ヴォーリズ記念病院緩和ケア部長・細井順医師によるパネルディスカッションに耳を傾けた。
河村医師は、在宅療養・看取りを「医師だけでなく多職種で支えていく」必要性を説き、瀬川所長も「人は一人で死んでいけない。たくさんの方との関係の中に最期のときがあると思う。生き方が死に方だと感じる」と地域連携の大切さを訴えた。
寿命を全うした人の最期の息を家族がしっかり引き取る時間と場を設けている細井医師は「自分の人生はいつか終わるのだから、元気なうちに家族も含めて、最期をどう過ごすのか相談しておく必要がある」と心の備えを強調し、検査・診断・治療・延命しか教わっていない同業種に向けて「『最期までみるから安心していいよ』。その一言が聞きたかったと、多くの患者は言う。いろいろな職種がチームとなって後方で支えるので、開業医をはじめ医療者は命の終わりまで地域で看取る責任を持ってほしい」と発信した。
●真の愛情と覚悟
五個荘地区社会福祉協議会主催の“地域福祉講演会”は、介護に直面している団塊世代を中心に東近江市内外から約百五十人が参加。冒頭、同協議会の西村實会長が「人間には、就活・婚活・終活の三つの活動があると聞いた。人生の総仕上げをどう迎えるか、講演を聞き考えてほしい」と促した。
登壇した講師の小串医院院長・小鳥輝男医師は、代表を務める三方よし研究会(東近江地域医療連携ネットワーク研究会)について「患者さんを中心に、互いに顔の見える関係を保持する地域の病院・施設をはじめ多職種が、相棒意識を持ち役割分担して支え合っている」と紹介、患者よし・病院よし・地域よしのまちづくりを市民とともに目指す存在でありたいとした。
一方で、「(日本では)愛と覚悟がなく、病人を家では看取れないと決めつけている家庭が多すぎる」と指摘。その背景の一つに死への意識の希薄さを挙げ、生そして命の質に目を向けるためにも「死の覚悟をしてほしい。死を正面から受け止め、共に考える機会を市民の文化にまで高めよう」と呼び掛けた。
死に向かう過程こそが親の最高の遺産であり、子の最高の親孝行であるとも説き、「座して在宅看取りはやってこない。千里の道も一歩から」だとし、自宅で大往生するための準備として死に対する覚悟と生に対する感謝を持つよう諭した。







