地域医療を守る病院長に聞く
◇東近江
地域医療の中核を担う東近江市立能登川病院。その存続方法について多種多様な意見がある中、平成二十三年四月から病院長を務めている竹内孝幸医師(53)に、能登川病院の持つ強みと展望を聞いた。
京都府立医科大学の消化器内科肝臓研究グループで研さんを積んだ竹内院長が、前任者の退職により能登川病院へ赴任したのは二十三年前の平成二年。すぐ病院に駆けつけられるよう、家族と一緒に京都から能登川へ移住して診療に没頭した。
赴任前からの流れをくみ、内科全般の診療にあたりつつ、肝臓疾患治療にも重点を置き、平成十六年に指導医を取得し、日本肝臓学会認定施設となった。認定条件には専門医二人(うち指導医が一人以上の常勤)が挙げられており、現時点で、県内の認定施設は能登川病院と近江八幡市立総合医療センターの二施設のみ。
また、最新のC型肝炎治療やB型肝炎の治療薬の取り扱いは、専門医など一定の資格を有した医師にしか推奨されておらず、専門医の受験資格を得るにも認定施設での一年以上の研修が必要となる。
認定施設の指導医として、竹内院長は、県内での肝炎治療対策の中心的役割を果たし、滋賀医科大学非常勤講師や県内外の開業医・医療関係者による研究会などでも講師を務め、最新の肝炎治療指導を行う傍ら、B型肝炎訴訟の弁護団と患者対象の講演会に講師として招かれるなど引っ張りだこ。「医者の役割は、地域の患者を診るのと同時に、若い先生を指導することにある」と優秀な医師育成にも力を注ぎ、巣立ち行く医師たちには県内外での幅広い活躍を期待している。
もう一つの特色は、日本消化器内視鏡学会指導施設であること。日本人のがんの七割を占めるという消化器系のがん。竹内院長をはじめ消化器内視鏡学会指導・専門医がそろっているため、内視鏡による検査・治療を得意とする。
現在、外科系常勤医の不在は近隣病院との連携でカバーし、肝臓病・認知症の知識や糖尿病に関する相談能力など、医師と患者の橋渡し役を担う看護師や検査技師、管理栄養師らのレベルアップで課題を補う努力も続けている。
医術の進歩とともに、病を経て死に至るまでの期間が昔より長くなった現代社会を踏まえ、竹内院長は「いくつも病気を抱える高齢者の医療は、総合的な視点を欠くと、その人が不幸になってしまうことも。病気になっても納得した日常生活が送れるよう、家の近くで死を迎えられる温かさも大切だと思う」と、高齢者の在宅医療やがん末期患者の緩和ケアといった終末期医療の支援体制強化を模索する。
さらに、CTと異なり被爆の恐れがなく、従来より撮影スピードと解像度が増して閉塞感も和らいだという最新鋭のMRIを導入する。好評のちょこっと健診や携帯・パソコンから小児科の診察予約ができ待ち人数も確認できるアイチケットといった職員発のアイデアを生かしつつ、昨年十月から婦人科も週一回(水曜午後)開設し、地域医療の充実や収益アップに向けた経営・運営改善にも取り組む。
医師・看護師不足の現実に直面しながら、能登川地区の一住民として地域医療を守るため、竹内院長は、一般的な内科診療と終末期医療、専門の肝臓・消化器疾患の治療という三本柱を掲げ、未来を見据えた病院づくりに奔走する。






