観測史上、最も早い貧酸素状況
◇全県
県琵琶湖環境科学研究センター(大津市)はこのほど、定期的に実施している水深別水質調査で、琵琶湖北湖今津沖(北湖第一湖盆)の水深約九十メートル地点の湖底直上一メートルで、八月後半から急激な溶存酸素濃度の低下がみられ、例年より約一か月早く溶存酸素濃度が貧酸素の目安である二ミリグラム/リットル未満になるという貧酸素状態が観測されたと発表した。
とくに今津沖中央のC地点では九月十日に一・二ミリグラム/リットルを記録したが、これは昭和五十四年(一九七九年)以来、三十三年間の調査で最も早い時期での貧酸素状態の出現である。
同センターによれば、この貧酸素化による底生生物への影響としては、湖底でアナンデールヨコエビ(注1)の死亡個体が集積していたという。
水質への影響としては、湖底から重金属のマンガンの溶出によるメクロゲニウム(マンガン酸化物粒子=注2)の生成がみられた。水中有索ロボット(ROV)で撮影した映像で、メタロゲニウムの沈降による湖底面の黒色化が確認されている。
同センターの山中直・環境監視部門長は「貧酸素化の原因として、六月から七月に大量に増殖した植物プランクトン(スタウラストルム=注3)が湖底に沈降し、バクテリアに分解される際に酸素が消費されたことが考えられる。また八月から九月にかけて表層水と深層水との温度差で生じる水温成層(注4)が強く、深層水が上層の水と混合しにくい安定した状態にあったことも挙げられる」と話している。
今後の対応について山中部門長は「平成十九年度から追加実施している北湖第一湖盆における水深別補足調査に加えて、水深八十~八十五メートルとより浅い水深を含む広範囲でのモニタリング調査や、スジエビなどこれから深水層に移動する底生生物の生息状況調査を実施する」としている。
(注1)アナンデールヨコエビ=琵琶湖固有種であり、体長は十五ミリで淡褐色。低温環境を好む。産卵期は夏~秋で、冬~春にかけて稚エビが北湖全域に広がる。初夏~秋は北湖深底部で過ごす
(注2)メクロゲニウム=メクロゲニウムは茶褐色の毛状構造を有した粒子であり、主成分はマンガンである。大きさは通常二○~四○マイクロメートルであり、琵琶湖の他に県内では余呉湖でも確認されている。生成には微生物が関与しているとされている
(注3)スタウラストルム=緑藻に属する大型のプランクトンで、細胞の中間がくびれているのが特徴である。琵琶湖の代表的な植物プランクトンであり、秋季に多く観察される
(注4)水温成層=深い湖では、夏期に、上層(温かい水)と下層(冷たい水)の二つの層に分かれた状態が形成される。これが水温成層。上層と下層の間の水温が急激に変化する層を水温躍層という










