声明出した全教組の瀧上執行委員長に聞く
昨年十月十一日、大津市立中学校二年の男子生徒がいじめを苦にして自殺したとされる問題を受け、小中学校教職員で構成する労働組合「全教滋賀教職員組合」(注)はこのほど、同中の教職員から聞き取りを行って問題を検証し、同組合初の声明を発表した。そこで本紙は、瀧上正昭・執行委員長(58)に聞いた。【高山周治】
----教育現場でのいじめの認識はどうしてなかったのか。
瀧上 「教師は認識していなかった」と報道されたが、男子生徒と、加害者とされる同級生三人らの力関係などから、懸念を抱いていた教師もいた。
----自殺の六日前の十月五日、教師間で協議しながらも、なぜいじめを見逃してしまったのか。
瀧上 校内のトイレで男子生徒が、加害者とされる同級生一人から暴行を受けたことから、男子生徒と同級生、双方の保護者を交えて話し合った。この場では双方の生徒の話を受けて、「けんか」として帰している。
しかし、その後の教師間の話し合いでは、「いじめ」の懸念も出され、学年で対応していくことを確認し、週明けにはアンケートもとることになっていた。その矢先の出来事だった。悔やまれるのは、ふだんから学年全体で情報や認識を共有し、この生徒の苦しみに寄り添って指導するということができなかったことだ。
----なぜ学年会で共有化できなかったのか。
瀧上 それは十分に検証されるべきだ。学校を取り巻く環境は厳しく、新学習指導要領で年間の授業時間が千五十時間に増え、全教滋賀教組の調査では、平成二十三年度の中学教師一人当たりの平日超過勤務は、十六年度比一時間増の約三時間で、土日の勤務も入れると月当たり約百時間に上る。それに加えて、この学校のような大規模校になると学年の教師全員がそろって会議をもつことは難しい状況がある。
しかし、そうであっても教師は、子どもの命を守らなければならない。声明ではその反省を踏まえて、本気で子どもたちに徹底して寄り添えているか、命や人権を第一にする指導が機能しているか、改めて全ての教師学校に反省と自己点検を求めた。
----市教委のアンケート調査のあり方が批判されているが。
瀧上 学校の指導・調査では、加害者、被害者双方の保護者を含めて、納得してもらう形でしかできない。加害者とされる生徒への聞き取りは、二回目以降は保護者に拒否され、調査ができなくなった。 この時点で市教委が主導して、教育的見地から調査検討を行うべきだった。
----いじめを減らすには、地域がどう関わればいいのか。
瀧上 地域住民は「おらが学校」の愛着をもって、子どもたちの良い部分をほめ、伸ばしてやってほしい。そして教職員には、保護者や地域のみなさん、そしてだれより子どもたちから信頼される人間らしさあふれる学校づくりに全力を挙げていくことが求められている。
(注)「全教」(全日本教職員組合協議会の略称)=日本教職員組合(日教組)が昭和六十四年九月、連合加盟を決定したのに反発した日教組内の単位組合が離脱し、同年十一月に全教が結成された。







