県内立地の大企業強く反発 海外移転?地元自治体「戦々恐々」
◇全県
今夏の電力不足で計画停電の可能性が浮上する中、ITやバイオテクノロジーなど先端産業が集積する野洲市はこのほど、市内に立地する国内外を代表する大企業の意見交換を行った。企業からは政策の見通しが立たない現状に「事業継続が不安視される」など厳しい意見が相次いだ。海外移転になりかねない状況に、同市は危機感を募らせる。【高山周治】
関電はこのほど、県に対して、一昨年比一五%以上の節電を要請した。県の基本方針は、経済の混乱を避けるため産業界に負担をかけずに、家庭での節電で乗り切るものだ。
意見交換では、計画停電の懸念について、オムロンの桜井一彦環境施設課長は「半導体は五分でも停電が発生すると、元に立ち上げるのに一~三日かかる。停電が繰り返されると生産できない」と頭を抱えた。
村田製作所の叶博光事業所長代理は「電気と水は生産の基本。計画停電は操業停止と等しい」と語った。好調のスマートフォン需要も「国内外の供給問題に発展する」と苛立ちを隠せなかった。
京セラの和田幸男工場長は「もし生産できない状況に追いこまれると、長年の努力で培った多くの取引先との信頼関係が崩れ、今後の需要確保と事業継続が不安視される」と表情を曇らせた。
化粧品を製造するP&Gの村松正治ユーティリティチームリーダーは「電気を停めると、世界で野洲工場でしか培養していないピテラ菌のプラントの立ち上げに一週間かかる。コストより生産できなくなることが不安」と語った。
このほか、「電力供給のハンディを背負えば、とても海外企業に太刀打ちできない」などと、来年も不安定な電力配給が続けば、海外へ出て行かざるをえないとの意見が出た。
医療へ影響
県の認識不足に不満
また、意見交換会では、県が「計画停電の医療機関への影響は大きくない」と認識していることに、現場から不満の声が上がった。
県の調査によると、自家発電のない四病院の患者は転院することで「大きな影響はない」とし、福祉施設や在宅で外部電源、充電機器をもっていない人工呼吸器やたん吸引器、酸素吸入器の利用者は、病院への一時入院や手動式などの代替機器の確保を呼びかけている。
しかし、野洲病院の小川栄次事務部長は「影響は小さいというが、そう安心できない」と反論。在宅医療で「手動の人工呼吸器、たん吸引器を対応するというが、十~二十年前も前から使われていないので、今のスタッフは勉強しておらず、教育するのは難しい」と実情を話していた。
病院施設でも透析患者の対応を時間調整するとしても、「限られたスタッフの配置を最低一月前には行わないといけない」とし、「関電も情報をオープンにし、計画停電をするのかしないのか早く決定してほしい」と気をもんでいた。








