人に密着した家庭医療知る 滋賀医大講演会に約200人
◇東近江・蒲生
滋賀医科大学家庭医療学講座主催の家庭医療学講演会「家庭医療による地域医療再生~米国専門医からの提言~」(共催=蒲生地区まちづくり協議会、同地区自治会連合会)が二日、あかね文化ホール小ホールで開かれ、参加者約二百人が家庭医の全体像をつかんだ。
「地域医療を改善していくためには、期待できる結果やゴールを明確にして進めていかないと、すべてのものがあやふやになってしまう」。講師を務めた元ミシガン大学家庭医療学臨床准教授で静岡家庭医養成プログラム指導医の佐野潔氏は、求める医療の具現化と併せて、十年、二十年先を見越して家庭医療を担う専門医育成の必要性を強調した。
家庭医が目指すのは、“ゆりかごから墓場まで”ではなく“子宮から葬式まで”と、長いつきあいの中で患者とその家族の内側に入り込んだ心のある医療を提供すること。
佐野氏は「各病院へ患者を振り分ける窓口また何でも屋のような薄っぺらい存在ではない。在宅医療やカウンセリング、正常分娩も含めて高いレベルで全科診療できるのが家庭医であり、疾患のみならず個々の抱える問題・背景に応じて患者側に立った医療を行う」と定義し、基幹病院の負担軽減や高額検査依存型から脱却して医療費を抑えるためにも、一次医療として家庭医がグループ診療を行える環境整備を提案した。
そこで課題となるのが、家庭医育成に向け若手医師をいかに集めるか―。教育的価値の高さがカギとなることから「施設面や指導員も大切だが、地域がこういう医師を育てていきたいというビジョンを打ち出すのも一案ではないか。『家庭医を一〇〇%サポートします』といった地域の結集力も魅力になりうる」と、地域一体となった取り組みの重要性を説いた。
続いて、全米でもトップレベルの地域家庭医療教育を誇るサウスダコタ大学家庭医療学臨床助教の萩原裕也氏が登壇。家庭医として第一線で活躍する経験をもとに「地域の文化を理解し、信頼関係を築くことが大事。アメリカでは家庭医が予防医学も担い、喫煙・肥満率の減少やがんの早期発見など成果をあげ、他科専門医の負担軽減にもつながっている」と報告、日本の課題に家庭医療の周知・理解を挙げた。
東近江市立蒲生病院の存続問題を含めて地域医療再生という難題を抱える蒲生地区。参加者からは「家庭医療は、地域より地域の人に密着した医療をするんだなとの印象を持った。住民周知や理解を深めるためにも、医師と対話できる場所を作っていきたい」と建設的な意見も飛び出した。
家庭医療という新たな切り口から見い出されようとしている医療再生への道。最後に、滋賀医科大学家庭医療学講座教授の三ッ浪健一氏が「地域の人に密着しない限り、家庭医療は発展しない。今後もこういった機会を作り、地域の方々が納得される形で家庭医療拠点ができあがっていくことを強く希望している」と締めくくった。







