県幹部が新構想の一端明かす
◇東近江・蒲生
蒲生病院の存続を含めて、地域医療の行く末に強い不安を抱える蒲生地区の住民に、新たな切り口から地域医療再生への道を示す動きが出始めている。
蒲生地区の市議や自治会・老人クラブ・まちづくり協議会の代表者らで構成する“地域医療(自治体病院)を考える会”が十九日、今年度初となる会合を蒲生支所三階会議室で開き、講師に県健康福祉部の角野文彦技監を迎えた。
小児科医でもある角野技監は、「今後の地域医療の役割」をテーマに講演。「病院完結型から地域完結型へと時代は移行している」と強調し、今後の地域医療の到達点として“在宅医療”を掲げた。
「総合病院があれば安心なのではなく、(東近江医療圏域で)どのような医師・専門医を置いているかが重要」。病院の機能分化と専門性の向上を図る上でも、患者自身がかかりつけ医と臓器別の主治医をうまく使い分ける必要性を説いた。
しかし、専門知識を持たない患者やその家族にとって、病院の選択は容易なことではない。そこで、医療現場と地域・家庭の溝を埋めるのが“家庭医”。各家庭を訪問して病気を診るだけでなく、患者の生活環境や家族の事情にも目を配り、症状に応じて最適な専門医を紹介するなど、各病院と地域を結ぶ役割を担う。
角野技監は「地域全体を病院ととらまえ、蒲生地区で家庭医を中心とした医療を提供したいと考えている。東近江圏域の病院と連携して家庭医育成プログラムを設け、高いレベルの家庭医を育てる家庭医育成拠点また県下へ家庭医を派遣する供給元にもしたい」と、蒲生地区を家庭医の先進地にして地域医療再生を試みるという県が温めている新たな構想案の一端を明かした。
〇床か六十床か―。蒲生地区の住民が最も関心を寄せる病床問題については「在宅医療を進めるときに大事なのは、患者家族をいかに支えるか。疲れた家族がリフレッシュして元気を取り戻すため、ショートステイをすぐに受け入れられる体制づくりがカギ。終の住処の病床ではなく、ショートステイを主に入院もできるベッド数を残していかなければならないと思う」と持論を展開し、新たな視点で議論の余地を残した。
出席者からは「どのような地域医療を作っていくかを考えることの大切さがよく分かった」との声があがり、角野技監は「感情論では何も解決できない。住民が主体となり、どのような医療・地域を望むのか議論を深めてほしい」と呼び掛けた。






