最高の滑りを目指して みき選手 冬季五輪へ
◇東近江・日野町
汗も涙も鼻血も流しながら、三姉妹で切磋琢磨し続けてきたスキー。カナダ・バンクーバーでの冬季五輪開幕まで二カ月を切り、スキーフリースタイル女子モーグル競技日本代表に内定している日野町大窪出身の伊藤みき選手(22)=中京大四回生=への声援も熱を帯びてきた。
「大人も夢中になるほど楽しいのだから、これ以上の競技はない」と、体育教師の両親の勧めで、姉のあづさ選手(23)=中京大大学院二回生=が四歳、みき選手が三歳、妹のさつき選手(16)=水口東高一年生=が二歳のときにスキーと出会った。
“我慢や辛抱をスキーを通して教える”との父・公英さん信念のもと、休憩時間のおやつを楽しみに滑り続けた三姉妹。モーグルを始めた小学低学年の頃、あづさ・みき選手は夜になるとホームシックで泣き出すのに、大人でも恐怖を感じるようなコブの上では涙一つ見せず楽しく滑り、その姿にスキー場へ連れていった両親の友人も驚いたという。
雪を求めて一台の車に乗り込み、県内外のスキー場を巡った日々を思い出し、母・敦子さんは「家族が一つになれるもの。それがスキーだった。娘から『家にお父さんが二人いる』と言われたこともあったが、スキーがいろんなことを教えてくれた」と語る。
三姉妹の先陣を切り、前回の冬季五輪に出場した経験が、みき選手の「もっと強くなりたい」という気持ちを高め、技術さらに精神面をも強化する地道な練習の原動力となった。
昨年五月には、母校の近江兄弟社高等学校で、もう一つの夢である体育教師として教育実習を行った。運動部所属の生徒を対象とした講演で、みき選手は平和の祭典である五輪の主旨を詳しく解説し、成績や採点にとらわれず自己表現することの大切さを伝えた。
同校の藤澤俊樹校長は、遠征先からでも課題を提出するほど勉学にも手を抜かなかったみき選手の高校時代を振り返りながら「最高の舞台で、最高の自己表現をしてほしい」とエールを送る。
二月十三日、みき選手は両親や祖母・福永久さんが手渡したお守りを胸に、世界中の人たちの心を震わせる最高の滑りを目指して、スタート台に立つ。






