言葉が壁、日本語修得に励む 家計支えながら高校受験挑む子も
◇甲賀・湖南市
景気回復の兆しが見えない中、南米系外国人住民の生活は、一層厳しさを増している。製造業の集積する県内には、近畿地方最多の約一万四千人(昨年十二月末)の大半が派遣労働に従事していたが、不況に伴って派遣切りにあった。四月の県内有効求人倍率は〇・三七(近畿最低、県内過去最低)で、一つの職を三人が奪い合う状態。外国人住民の人口割合が県内の市町で最も高い湖南市を訪ねた。【高山周治】
「前年度はぽつぽつ再就職が決まっていたが、新年度に入ってからはさっぱり」と力なく話すのは、湖南市国際協会(同市梅影町)の理事長、大嶋理絵さん。
同協会は、言葉が再就職の壁になっているとして、今年一月から日本語を指導している。多くの外国人住民は、派遣労働者として働いてきたため、就職活動の経験がなく、求人表の見方や面接の受け方(自己PR)が分からないからだ。
口コミで広がった教室には、同市のほか、甲賀市、栗東市、日野町からも大勢集まり、新年度からは八十人以上が通う。このうち、前年度を通じて就職が決まったのは、十八人(同協会把握)にとどまる。
日本語がある程度話せる若者は就職が決まりやすいが、そうでない四十歳以上になるとハードルがぐんと高くなる。就職できても二か月で解雇されるケースもあった。
あきらめて母国ブラジルへ帰る人もいる。同市によると、六月一日現在の外国人登録者数は三千三十三人で、十一月末と比べて約一割の三百二十三人減少した。
ブラジルも日本以上の不況だ。帰国するのは、住む家があったり、老父母のみ帰して息子が仕送りをするなどの一握りで、多くは「帰っても当てもなく、日本にいた方がまし」と残る。
不況は進学にも影響している。同協会には現在、中学校を今春卒業した少年五人が、アルバイトで家計を支えながら、来年の高校受験を目指して日本語を学ぶ。
指導は、就職活動中のボランティアがほぼ毎日あたってくれているが、それぞれの生活事情もあるので、今後も継続できるかどうか分からない。
大嶋さんは「みんな不況の嵐をじっと耐えている。疲労で体を悪くしていても、お金がないので通院もままならぬ人もいる」と表情を曇らせる一方で、「十四日は年一回の全体交流会。こんな時期だからこそ、みんなで食事やダンスを楽しんで、暗い世相を吹き飛ばしたい」とほほ笑んだ。





