日野警部交番所長に着任
◇東近江・日野町
「世のため、人のために生きる仕事を」と、飛び込んだのが三十五年前。警察官一筋に歩み続けてきた清水美代子警部(56)が、三月二十六日から東近江警察署日野警部交番所長に就任した。滋賀県警で唯一、女性で警部まで上り詰めた先駆者でもあり、新天地での活躍が期待されている。着任から約一カ月を前に、地域の安全を守る所長としての決意を聞いた。
昭和四十九年、滋賀県警は初めて女性警察官を採用。その一期生が清水警部だった。「どんな仕事も世のため、人のためになるが、警察官という職にピンと感じるものがあった」と振り返る。
警察学校での訓練を終え、最初の赴任地は彦根警察署。翌年には警察官の夫と結婚し、危険が付きまとう職業柄、働くことを反対された。
同期が結婚を機に辞めていく中、「『すぐ辞めるから』と、家族を言いくるめているうちに理解が得られるようになった」という。
県内各署を回り、平成十三年に警部へ昇進し、旧愛知川警察署の地域課長となった。
不測の事態に備え、警部以上になると官舎に住むのが決まり。週末だけ帰宅する三年間の単身生活を「家族と子どもの理解なくしてはできなかった。主人の親と同居だったので、子どもの面倒をみてもらえて恵まれていた。主人も家事全般をせっせとこなし、今では一番の理解者だ」と感謝する。
全くレールのない男社会で「女性だからという理由で、できないことは何もない」と、後ずさりせず、常に扉を開けてきた。
県警本部の交通・地域・少年課で要職に就き、警察学校教官も歴任。しかし「キャリアを積むことが、私の目標ではない。いつもまだ何かし足りなさを抱えており、地域の人たちに喜んで、安心してもらうにはどうすればいいか」との自問自答を繰り返す。
今回、新天地での職務に少し不安を覚えたというが「子ども安全リーダーや少年補導員、交通安全協会員、警察連絡協議会委員をはじめ、日野町内のみなさんと出会い、その熱心さと温かさに触れ、自らの原点に立ち返れた。警察官として区切りが迫る中で『よし、やらねば』との思いが再燃し、エネルギーがわいてきた」と、心境の変化を語る。
交番勤務の警察官六人と町内七駐在所を束ねながら「スピーディーさを忘れず、数多い事案も一つずつ対応し、安全安心を実感できる日野町」を思い描く。
また、家庭と仕事を両立してきた経験から「少年非行は、家庭での愛情がカギを握る。いつでも見守っているという親の愛情が子を立ち直らせ、悪事に手を染めるブレーキの役割を担う。女性の社会進出などにより共働きだと難しい面もあるが、まずは温かい家庭を作ることに目を向けてほしい」と訴える。
核家族化が進行していることもあって「家庭また地域の相互扶助が重要。日野町の風土からすると、向こう三軒両隣りが助け合い、子どもたちを見守る地域を構築できると思う。子どもや女性の安全安心にも力点を置き、地域住民の声を直に聞きながら、連携の輪を広げていきたい」と、やさしさがにじみ出る温和な表情とは裏腹に強い信念と決意を胸に職務にあたっている。






