社会復帰を目指す派遣切り体験者
不況と雇用をテーマにした反貧困フォーラムがこのほど、ピアザ淡海(大津市)で開催され、派遣切りの体験者が社会復帰に向けて再起にかける思いを語ったり、木下秀雄・大阪市立大学大学院教授が広がる稼動年齢層の貧困について講演した。
近畿最低の有効求人倍率0・49
外国人労働者「言葉」が壁
製造業で働いてきた東近江市の男性(42)は昨年の暮れ、派遣切りにあい、現在、ハローワークで職を探す。製造業の多い滋賀県の有効求人倍率は、近畿地方で最低の〇・四九倍(二月末時点)。「仕事はほとんどなく、選ぶのは不可能。四十歳代以上はないといってよいくらい」と嘆いた。
仕事もさることながら、住まいの問題も大きい。アパートを借りようと不動産業者にあたったが、保証人の有無がハードルになった。
「野宿になれば、人として生きるのはつらい。不動産業者の方には、もっと借りやすくお願いしたい」と声を詰まらせた。
ブラジル出身の男性は、十八年前のバブル全盛期、派遣会社を通じて来日し、十三年前に自動車安全部品を製造する県内の事業所に移った。今年一月二十七日に解雇通告を受け、三日後に辞めさせられた。
さらにアパートの大家からは退去を促された。調べると、派遣会社から支払われていたはずの家賃が十月から滞っており、電話しても連絡がとれなくなっていた。
とくに外国人住民にとって大きな壁は「言葉」だ。男性は仲間の通訳として奔走し、自分の再就職の活動を遅らせた。
「外国人住民はどこへ相談すればよいのか分からない。市役所へ行っても通訳がいない。雇用保険にほとんどの人が入っていないので生活に困っている人が多い」と訴えた。
ネットカフェに寝泊まりしながら、仕事を探していた男性(30代)は二月、所持金が底ついてしまって「自殺するか、警察の捕まるか本気で考えた」と当時の心境を明かした。
しかし幸い、野洲市役所の紹介でNPOが市内で運営する宿泊施設に入ることができ、「帰る所ができた安堵感」を味わった。滞在中は農作業を通じて生きる自信を取り戻し、新しい仕事も見つけることができ、「世の中捨てたもんじゃない。かけがえのない支援もらい、がんばっていきたい」と感謝した。
また、講演では木下教授が「(この大不況で)穴からもれる人が大量に出るようになり、そういう人を負け犬、自己責任と片付けるのでなく、しっかり問題を直視する必要がある」と指摘。
教育給付金や企業への補助など経済成長を前提にした行政施策についても、「経済成長頼みから離れるべき」「発想が仕事を見つけられない人の実態にあっていない」と疑問視した。






