昨秋から手術・入院できず 現況打破―能登川病院
◇東近江
常勤の外科医師が一人となり、昨年十月から手術や入院の受け入れを中止していた東近江市立能登川病院に、市立蒲生病院の常勤外科医師が週一回(水曜日)応援に駆けつけることになり、外科手術や入院相談にも応じられるようになった。市立病院間の医師の派遣連携は初めて。
三年前まで常勤の医師が十四人いた能登川病院では、平成十六年に導入された「新医師臨床研修制度」から深刻な医師不足に陥り、昨年十月には半数以下の六人にまで急減した。現在、パートの非常勤医師でやりくりしているが、外科医師一人では手術が行えず、外来患者のみの診療が続いていた。
このため同市では、市内にもう一つある市立蒲生病院との連携を模索し、医師派遣元の京都府立医大医局に要請したところ、週一回、蒲生病院の外科医師が一人ずつ能登川病院へ応援に行くことが可能となり、十四日から二病院間で連携が行われている。
市病院管理課によると、週一回のみの二人制であるため、外科手術は蒲生病院になるものの、術前術後の相談や診療が充実されるとしている。
新研修制度
医師不足の引き金に
臨床研修制度は、 医師免許取得後に最低二年間の研修が義務化され、研修医が自ら研修先を選べるようになったものだが、勤務条件がよい都市部の病院に人気が集中し、大学医局での人員不足(導入前に比べて初期研修医が全国で約二千五百人減少)が顕在化した。その結果、公立病院などに医師を派遣していた医局制度が崩壊し、全国で七割の医局が派遣の中止もしくは削減し、医師を呼び戻す引き揚げが起きている。
昨年六月に、日本医師会が公表した緊急アンケート調査によると、派遣を受けられなくなった医療機関の六割以上が診療の制限や診療科の閉鎖に追い込まれていることも分かり、日本医師会総合政策研究機構は「医局の人材配分システムが機能しなくなったことが医師不足を顕在化し、地域間格差を広げた」と指摘している。
厚労省も事態を重くみ、今年度中に過去最高の医師増員を実現させる方針だが、効果が出始めるのは早くても七年後。また、臨床研修を終えた医師のうち、大学病院に戻った医師は全国で三割に留まっており、絶対数が不足している小児科や産婦人科、地域医療の研修を必須に組み込むなど、制度の見直しが求められる。






