小学生22人 集落内を練り歩く
◇東近江・竜王町
子どもからお年寄りまで自然と笑顔を引き出すやしゃりさん―。竜王町林で五日、子どもたちが主役のやしゃり(耶舎利)さんにまつわる恒例行事が行われた。
地元住民から「やしゃりさん」また「やっしゃりさん」と呼ばれ信仰を集めているのは、高さ約五十センチの地蔵“やしゃり仏”。自然木に頭部と胸部のみが粗彫りされており、いつどこで作られたかはわからない。
このやしゃり仏は、昔、林集落の東側を流れる日野川が洪水したとき、濁流にもまれながら上流から流れ着いたと伝わる。現在は、常信寺(楠本恭久住職)近くの大日堂で、大日如来とともに安置されている。
毎年一月五日に、やしゃり仏をおぶる六年生を先頭に小学生全員で、林地区の全世帯(百四世帯)を案内するのが習わし。正月といっても娯楽がなかった時代、子どもたちに少しでも楽しみを与えてやりたいという大人たちが考案し、百年近く受け継がれている伝統行事だ。
午後一時前、常信寺境内には、同地区の小学生二十二人が集合。六年生の川部淳志くんと村田彩華さんが、交代で重さ約五キロのやしゃりさんを背中合わせに背負った。
「みんなでわいわいできるので、毎年楽しみにしている」という村田さんもさすがに「初めてなので緊張する」と語り、先にやしゃりさんを紅白のひもで体に巻き付けてもらった川部くんは「思っていたよりも背中に圧迫感がある」と言いながら笑顔をのぞかせた。
お供物を受け取るお盆を片手に出発。年行司(ねんぎょうじ=行事を補佐する世話人)の大人が訪問を告げる鐘を打ち鳴らし、その音を聞き出てきた住民が、子どもたちを玄関先へ温かく迎え入れた。
ベレー帽をかぶり、どこか愛きょうのあるやしゃりさんの表情を見ると、住民にも自然と笑顔が広がった。数珠を手に拝みつつ「子どもたちを守っておくれ」と話し掛けたり、頭や自分の体の悪い部分と同じところをなでるなど願掛けする姿も見られた。
また、上級生が下級生を見守りながら三時間ほどかけて全世帯を訪ね歩く姿に、あるお年寄りは「子どもたちが楽しんでいる姿を見るのが、私の楽しみ」と目を細めた。
身近な地域の人たちと触れ合い温もりを感じた後は、常信寺本堂で年行司が炊いたしょうゆ飯を全員で食べ、冬休みの思い出として楽しいひとときを心に刻んだ。








