総合医療センターは直営へ
◇東近江・近江八幡市
経営難に陥っている近江八幡市立総合医療センター(土田町)の経営改善に向けた近江八幡市と特別目的会社(SPC)「PFI近江八幡株式会社」との交渉がまとまり、近江八幡市役所で二十五日、PFI契約を解約する合意書への調印が行なわれた。これにより、全国初の民間資金と経営のノウハウを導入したPFI方式による病院経営は開院から二年五か月で幕を閉じ、来年四月からは市直営での運営に移行する。
調印式では、市側の冨士谷英正市長と病院事業管理者職務代理者の槙系院長、SPC側の井谷守PFI近江八幡株式会社代表取締役の三者が、「近江八幡市民病院整備運営事業 事業契約解約合意書」に、調印した。
今回の合意に伴って、市は同センターの施設等整備費の残額約百十八億円をSPCに支払って施設を一括で買い取り、SPCや金融団、SPCとの受託企業に対し、損失補償金として総額二十億円支払う。
調印後の記者会見で、冨士谷市長は「ひとつの山は越えられた。楽でない山が待ち控えている。これまでは努力してもよじ登ることができなかったが、今度は努力すればよじ登ることのできる山。経営改善に今まで以上に努力する」と、決意を述べた。また、「高すぎる病床の稼働率や外来患者数の見込み、収支の計画と実態のかい離があった。身丈をはるかに越えた事業に手を染めた」と、経営難の原因が当初計画の甘さにあったことを、改めて強調した。
井谷社長は「三十年間続けるつもりだった。PFI解除ではなく契約内容変更での経営見直しの方法もあったが、市側が一括返済、直接運営を願っておられたので方向転換した。それが市の望んでおられるものを達成する一番近道だと判断した。市が求められているものは100パーセント以上果たしている。PFIシステムそのものがおかしいと思っていない」と述べ、今回の解約は、総合医療センターの収支の現状が当初の市の見通しから著しくかい離したことが原因で、PFI方式そのものの有効性を否定するものではないという考えを示した。
解約金の二十億円については、「市の財政事情からやむを得ない」との判断理由を語ったが、それ以上の交渉経過の詳しい内容は守秘義務を理由に明らかにされなかった。
市は、センターの施設買い取りのため総務省に申請している病院事業債約百十八億円を充てるが、満額認められなかった場合を想定して、市中銀行から低金利、元本返却猶予付きで調達できるよう打診していることを、二十二日の市議会で明らかにしている。
二十四日の市議会閉会のあいさつで冨士谷市長は、「経営手法の方向転換が目的ではなく、あくまでも直営方式による自助努力と自己責任による経営努力をより反映できるものであり、その体制での病院運営が、まさしく真価が問われる」と、述べている。
また、PFI方式の総括と検証を早急に行ない、議会と市民に報告することにしている。






