映画 「日(ひ)を愛(かな)しむ」制作
5月からクランクイン
◇東近江・五個荘
東近江市五個荘出身の作家・外村繁(一九〇二~六一年)と後妻・てい子との生涯を描く映画「日(ひ)を愛(かな)しむ」の制作が五月から始まる。
外村繁と同じ五個荘生まれの脚本家・深尾道典さん(73)が代表を務める同映画制作委員会が、この秋の公開をめざして計画を進めているもので、これまで余り知られていなかった夫婦愛に視点を置いた「共に生きることとはなにか」を問いかける映画作品となる。
外村繁は明治三十五年十二月、江戸時代から続く五個荘金堂町の木綿呉服問屋の三男として生まれた。京都三高(現・京都大学)卒業後、東京大学に進んで文学を志し、同人誌を創刊するなど文筆活動に入ったが、東大卒業後、父が急死したため家業を継いだ。
しかし、五年後の三十歳の時に家業を弟に譲って文壇に復帰し、第一回芥川賞候補になった長編作品「草筏」(昭和十三年池谷賞受賞)や三十一年第九回野間文芸賞受賞の「筏」など発表し、注目を集めた。
戦中、東京に留まり、執筆活動を続けていたが、戦後、先妻のとく子が五人の子供を残して他界。二年後には文部省職員だった、てい子と再婚し、大河小説「筏三部作」を書き上げ、外村繁の代表作として高い評価を受け、文壇での地位を築いていった。
しかし、昭和三十二年にガンに侵され闘病しながら執筆を続けていたが、発病から三年後には、一緒になった妻てい子も乳ガンになり、夫婦でガンと闘う生活を送るようになる。
外村繁が永眠する約一年前の随筆に、庭の移ろいや前妻と五人の子供のこと、引き取って暮らした老いた母のことなど私生活を優しく、おおらかに終末の日々を送ったことが綴られている。
てい子との暮らしを舞台にした今回の映画は、そうしたガンと闘う夫婦のこまやかな情愛、親と子の悲喜こもごもの日常、文豪たちとの交友など、外村繁の日々の暮らしを描く。
目標としていた制作資金も整い、現在は出演者交渉が最終段階を迎えている。
撮影は、京都の撮影所をベースに地元五個荘、「東北」や「最上川」の作品の舞台となった山形、鳥取などでのロケが決まっている。
深尾さんは、八日市高校から早稲田大学第一文学部に進み、卒業後は東映に入社。「絞死刑」(大島渚監督作品)ではキネマ旬報脚本賞を受賞。「曠野(こうや)の歌」、「蛇海」、「ある女の生涯」など多数の著書もある。
深尾さんは、「一日一日を慈しむかのように生きた夫婦のこまやかな情愛が、また、子供たちやゆかりの人々の悲喜こもごも物語が、そしてまた、学生時代から変わらぬ友情が伝わってくる作品に仕上げたい」と話している。






