日野町 修学旅行受け入れ目指す
◇東近江・日野町
物質面の豊かさとは裏腹に、現代人は心暖まる交流に飢えているのかもしれない―。飾らないありのままの姿を受け入れ、提供する新たな観光ビジネス「体験型観光と農家民泊」。人と人とをつなぐ観光振興から、地域振興また地域経済活性化を模索する日野町の取り組みを取材した。
町内の農家戸数は十年で一八%、耕作面積は一一%も減少している。農業者の高齢化や後継者不足、獣害による耕作意欲の低下など、農家の疲弊が見え隠れする。 このまま農林業の衰退を放置しておけば、地域の存続すら危うくなるのではないか。危機感を抱く三方よし!近江日野田舎体験推進協議会(事務局=町商工観光課)が旗振り役となり、人の流れを生み出す「体験型観光と農家民泊」への挑戦が始まった。
旅館・ホテルとの大きな違いは、ありのままの暮らしを体験してもらうことが最大のサービスであるという点。
昨年九月、農業を題材にしたマンガを読んで参加を決めたという京都の三十代女性が、同町深山口に滞在。日野菜の種まきやコンバインでの稲刈り、よもぎ団子作りなどを体験し、「思っていた田舎体験ができ、本当に楽しかった」と一泊二日の思い出を心に刻んだ。
初めて受け入れた白井宗一郎・利子さん夫妻は、「一緒にご飯も作ったが、普段食べている田舎料理ばかりで本当に喜んでくれるか心配した。別れ際に涙を浮かべ『うれしかった』と言ってもらい、心の交流ができたんだなと実感した」という。
平成十九、二十年の二年間で、農家民泊を受け入れたのは七軒。この実績をもとに、住民・行政・市民グループ・企業を結ぶ同協議会(東正幸会長)は、国の農山漁村地域力発掘支援行動モデル事業採択を受
け、「ふるさとづくり計画」(五カ年)を策定した。
計画には▽体験型観光による入込客数六千人▽体験プログラム数三十プログラム▽民泊受入家庭五十軒―と具体的な数値目標を掲げ、今年度中に田舎体験を指導・サポートするインストラクター養成に取り組む。
また、平成二十二年度の修学旅行受け入れを目指し、現在、民泊に協力してくれる家庭を募集している。
体験者に「また来たい」と思わせるような感動を届けるとともに、“迎える者の自信と誇りの回復”が取り組みのもう一つの狙い。
継続的な事業展開には、地域への経済波及効果と安定した受け入れ体制の構築が必要不可欠で、同課の福本修一主任は「地元産業との連携が重要になってくる。農村を舞台に新たな観光と人の流れを生み出したい」と地域資源掘り起こしに知恵を絞る。







