知事宛に和解求める嘆願書提出
【全県】 県主導で2007年4月に近江八幡市に開設された滋賀食肉センターでは、滋賀食肉公社(東勝理事長)が同センターの管理運営(施設使用料の徴収)、(株)滋賀食肉市場(寺倉浩一社長)が同センターで牛のと畜・解体、県副生物協同組合(刀根章代表理事)がホルモンなどの内臓処理を行っている。この副生物組合の従業員らが18日、三日月大造知事宛に食肉公社との和解を求める嘆願書を提出後に会見して、「食肉公社は私たちに『死ね』と言うのか」と切々と訴えた。(石川政実)
公社の和解拒否決議により
未払金3800万円の回収不能か
食肉センター開設当初から県の牛と畜計画の見込み違いにより、食肉市場と副生物組合の売上げが伸び悩んだ。
当時、副生物組合の代表理事であった堀川眞智子氏が19年に恐喝未遂容疑で県警に逮捕された。だが同氏は22年1月に無罪になった。
大野和三郎元県議の意向も汲んで、堀川氏逮捕などを理由に食肉公社は20年12月、副生物組合に対し21年4月から同センター施設使用契約書の契約更新拒否を一方的に通知した。
そのため副生物組合は21年2月、公社に対し「契約は存在している」と大津地方裁判所彦根支部に提訴した。逆に食肉公社が同年4月、副生物組合に対し「施設使用料の未払金を支払え」と同彦根支部に訴えて現在も係争中だ。
この間、副生物組合の刀根代表理事は、知人に頼み込んで副生物組合の継続を条件に未払金を一括で返済する約束を取り付けて食肉公社に提案したが、食肉公社は返済案に興味を示さず、逆に刀根代表理事の解任を求めたため、提案はご破算となった。
食肉公社は昨年12月に開いた理事会で「副生物組合の滋賀食肉センターからの退去、牛内臓処理業務からの撤退を求める方針のもと、裁判所に早期の判決を求める」として和解拒否の決議をした。
副生物の従業員の一人は「食肉公社のこの決議は、副生物組合で生活の糧として牛内臓洗いの仕事を続けている私たち従業員やその家族に対し『死ね!』と言っているのと同じことだ。副生物組合は立ち退きを迫られ、やがて破産申し立てを余儀なくされるからだ。三日月大造知事には和解への再考を促してもらいたい」と嘆願書を提出したという。
23年2月定例県議会で、江島宏治前副知事(食肉公社前理事長)は「和解の働きかけがあれば、(副生物組合が)持続可能な運営が出来るか検討する」と前向きともとれる答弁をしていた。
それだけに今回の食肉公社の議決は「青天の霹靂(へきれき)で、違和感を覚える」と語るのは、小寺裕雄衆院議員。
小寺議員は「食肉センターをなんとしても開設しようと、県は年間1万2千頭のと畜計画を設定した。しかし年間と畜実績は約8千頭にとどまっている。これは県も当初から想定していたもので、実態とかけ離れたと畜計画の数字は、議会対策のためだった。これが食肉市場や副生物組合の財政悪化を招くことにもなり、副生物組合の食肉公社への施設使用料未払金が3800万円になった一因ともいえる。県内の畜産業界も、足の引っ張り合いを止めて、かつてのように一丸となって近江牛ブランドの向上に努めるべき」と苦言を呈する。
公社にも未払金負担責務!?
副生物組合の刀根代表理事は「当組合の従業員(現在25人)と先日も話し合ったが、従業員からは『ストライキをすべき』との声もあった。しかし、『それをやれば近江牛ブランドの信頼が損なわれる』との反対意見が出てなんとか収まった。食肉公社の理事らは未払金回収をそっちのけで、副生物つぶしに奔走するのは、例えばハンナンやエスフーズといった県外の著名な食肉加工・卸業者の力を借りて、あらたに別の副生物組合をつくるのが狙いといったうわさが出ている。例え食肉公社が我々をつぶすつもりなら、副生物の処理加工を今後、どうするのかを明らかにするとともに、一括支払いを反故にしたことによる未払金3800万円を公社も負担すべき責務が発生する」と指摘する。
食肉公社の理事の一人は「食肉公社が和解拒否の決議をしたのは、副生物の経営が不透明で、理事会の運営も一部に有利なようになっており、公平、公正でないからだ」と説明する。
和解反対を強く主張した別の理事は「県外の大手加工業者の力を借りることはない。あくまで県内業者にこだわることになろう。例えばと畜を行っている食肉市場に副生物の処理業務を統合させる考え方もある」と話した。






