縁起絵巻や観音霊験記など 貴重な寺宝を一般公開
【近江八幡】西国巡礼第三十二番札所の観音正寺(近江八幡市安土町石寺)に伝わる人魚伝説のアニメーション作品「観音正寺の人魚伝説」(制作・日本財団・海と日本のプロジェクト)が完成したのを機に同寺で特別展「人魚と聖徳太子」が1日から本堂内陣で開かれている。7月10日まで。
同展では、アニメ作品に描かれた同寺と聖徳太子の由来を記した「観音正寺縁起絵巻」(寺所蔵)や広重二代と豊国三代が各札所の景観を描いた錦絵「観音霊験記」、復元された聖徳太子絵伝の写真パネルなど、これまで一般公開されてこなかった「寺宝」を展示している。
いずれも、観音正寺の起源を記述した文化財で、アニメ作品のストーリーとなっている聖徳太子と人魚の伝説が描かれている。観音霊験記の中では、水面から現れた魚の形をした人物絵が繊細に描かれている。また、平成5年の本堂火災で焼失した「人魚のミイラ」の写真も展示され、人々の関心を集めている。寺では、特別展を機に人魚の切絵朱印や人魚の縁結び絵馬などの「特別授与品」も揃えている。
岡村遍導住職(57)は「アニメ作品には、人々の幸福を説いた仏教の教えが描かれています。この人魚伝説が教えの例えとして広がり、仏教の教えが成就するよう願ったものです。山寺に人魚の伝説が伝わっていることもおもしろいですが、東近江地域は、聖徳太子にまつわる伝説が数多くある地域です。今回の特別展が、聖徳太子と東近江地域を結ぶ1つの発信につながり、多くの人々に知っていただくことを願っています」と話している。
アニメ作品「観音正寺の人魚伝説」
聖徳太子がびわ湖に釣りに出かけた時、人とも魚ともいえない人魚を釣り上げた。人魚は前世が漁師であった時、欲にかまけて必要以上の魚をとり、売れ残ったものは捨てるなど殺生を繰り返した結果、その災いとして魚の姿に変わってしまった。暮らしている湖の中では殺生をした魚たちにこれまでの行いを責め立てられ、つらい日々を送っていることを聖徳太子に直訴し、なんとか成仏させてほしいと懇願。聖徳太子は、人魚の訴えを聞き入れ、繖(きぬがさ)山に立派な観音堂を建立して千手観音を安置し、魚の祟りを鎮めたというストーリー。
やさしく分かりやすく語りかけるナレーションと描画で、自然から得た恵みに感謝し、欲にかまけず、恵みはみんなで無駄なく分け合い、支え合って生きていく大切さを描いている。作品は、同協会のホームページで公開されている(二次元コード参照)。











