親族の想いを引き継ぐ 林田町の本多さん
【東近江】 東近江市立御園小学校に建立されていた二宮金次郎の石像の移設工事が完了した。
この石像は、昭和14(1939)年、地元出身の篤志家・本多文五郎氏が寄贈したもので、もともとは旧校舎玄関横に建立されていたが、現在の校舎に建て替え後もそのままの場所に残された。
現在の南側校舎と運動場の間に残った石像は、建立から86年が経過し、風雨等による劣化や耐震性の課題などが浮き彫りになり、児童の安全な場所への再建が検討されていた。像の周囲をバリケードで囲う安全策がとれられていたものの運動場に近く、高さ3・3メートルもある像の近くで遊ぶ児童もいることから不測の倒壊事故を懸念する声もあった。
親族が寄贈したものであることを知った同市林田町の本多文夫さん(76)が、子どもたちの健やかな成長を願って寄贈した親族の意思を引き継ぐべく再建を申し出、学校と協議を重ねて玄関脇の空き地に移設することにした。
再建された石像は、台座を一段取り除いて低くし、安全性を高めて耐震性も備える強化工事が施され、石像再建の想いが児童たちに伝わるよう説明看板が設置された。
本多さんは「戦時中、遠くはなれた異国の地(現在の中国天津)で、商売を営んでいた親族が、生まれ育った故郷を想い、将来を担う子どもたちの健やかな成長を願って寄贈したことを知り、再建させていただいた。これからも学校への想いが引き継がれるよう願い、将来にわたって地域で子どもたちを見守っていただけることを望んでいます」と話している。
熊倉正志校長(59)は「今の子どもたちが二宮金次郎の歴史にふれることはなくなっており、この像がどういうものであるのかを知ることも少なくなっていますが、学校は、石像に込められた地域の方々の想いや応援のもとにあるということを子どもたちに伝えていくためにも、今回の再建に感謝しています」と話した。
二宮金次郎の石像が今も小学校敷地に建立さているのは県内で120校余りといわれている。近年の新設校ではなくなっている。
二宮金次郎は、二宮尊徳とも呼ばれ、江戸時代、百姓の長男として生まれ、子どもの頃から家業の農業に従事。災害や度重なる飢饉(ききん)に見舞われながらも人一倍の努力と助け合いの仕組みを考案して見事に貧しい生家を再興したという努力家で、その手腕を活かし、荒廃した村や行き詰まった藩の財政の立て直しに一生を捧げたと伝わる。芝を背負い、本を広げて歩く姿の二宮金次郎の石像は、子どもの頃から家の手伝いに励みながら自ら学問にいそしんだ姿を表しており、よく働き、世の中のために尽くす教育の模範を尊ぶモニュメントとして小学校に建立されてきた。







