県政NOW 「103万円の壁に想うこと」
10月の衆院選を機に「103万円の壁」が話題になっています。103万円は、所得税支払いの義務が生じる最低年収、いわゆる年収の壁のことです。年収が103万円を超えると本人に所得税が発生するだけでなく扶養親族の要件を欠くことからこれを超えないよう年間労働時間を調整する就業調整が行われています。賃上げが人手不足を助長しないためにも適切な見直しが必要となっていますが、就業調整を行う年収の壁は103万円に限らず106万円や130万円の社会保障の壁があります。これを超えると保険料負担が発生するため社会保障の壁をより意識して就業調整することが多く税と社会保障の一体的かつ総合的な見直しが必要であると考えます。国民民主党が提案する過去30年分の賃金上昇率1・73倍の178万円に年収の壁を引き上げると地方税4兆円を含め約8兆円の税収減となると言われています。国民の手取りが増えれば国内消費の増加に伴う増収が見込めるとの意見もありますが、8兆円の税収確保は容易なものではないでしょう。豪雨や地震による災害が絶えることがなく、また国民生活を支える道路や橋梁、水道管設備などの改修が差し迫る中、災害復旧や社会インフラ改修のための財源確保は重要です。国民の手取りを増えることは望ましいことだとは思いますが、その一方で住民サービスの低下を避けるために国民の誰しもが応分の負担をしなければならないと考えます。年収の壁を政争の具とせずに税の減収による社会全体の不利益も視野に入れて将来を見据えた国民的な議論をするべきではないでしょうか。学生が年収の壁によりアルバイト時間を調整することで生活に困窮する姿がテレビ報道されていますが、学生には収入向上よりもむしろ学業に専念できる教育支援策を検討すべきではないでしょうか。「103万円の壁」が契機となって国民にとって望ましい税や社会保障あるいは教育支援の制度となるよう議論を尽くさなければならないと考えます。






