国政刻刻 『水と生きる地域の力―琵琶湖・太湖の比較から』を共著で出版
森・里・湖(うみ)に育まれる伝統的漁業と農業と生活文化が織りなす「琵琶湖システム」が、今年7月、国連農業機関が認定する「世界農業遺産」に指定されました。世界農業遺産とは、世界的に重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域を「国連食糧農業機関(FAO)」が認定する制度で、世界22ヶ国67地域が認定され、日本では13地域、近畿では2地域です。
11月、この「琵琶湖システム」に関する書籍「水と生きる地域の力―琵琶湖・太湖の比較から」(サンライズ出版)を共著で出版しました。同書では、琵琶湖システムの一部を構成する高島市の琵琶湖辺の針江地区の人びとの、カバタと呼ばれるわき水と生きる暮らしぶり、稲作とおかずとり漁業、ヨシ帯の利活用やそれを担う地域組織の仕組みを前半でとりまとめました。針江のこの暮らしぶりは1000年以上の歴史があると言われています。後半では、中国の太湖辺の水田稲作とヒシなどの水草活用や養魚とあわせて養蚕を複合的に組み合わせた生業を紹介しました。過去2000年の歴史があります。太湖近くの青田県も世界農業遺産に指定されています。
筆頭著者は、琵琶湖博物館専門学芸員の楊平さんです。楊さんは中国語を母国語としながら日本の大学で博士号をとり、2007年に琵琶湖博物館に赴任しました。楊さんはまさに私の娘の世代です。中国語を母語とし琵琶湖周辺の水辺村落の生業と人びとの暮らしにほれ込んだ楊さんと、日本語を母語として中国での魚米の郷の生業複合の存在に1980年代から心を奪われてきた私と、母娘のような世代の違いをこえて、まとめた書です。
現在、石油文明と資本主義の広がりの中で、地球規模の環境問題が人類の課題となっています。私たちは、地域の「近い水」や「大地の力」を活かした徹底的なコミュニティ主義こそ、問題解決のヒントがあると考え、この本をまとめました。多くの皆さまからの積極的で発展的な批判を歓迎いたします。本研究調査を進め、その成果をこうして刊行できたのも、水の縁で繋がった太湖や琵琶湖地域の多くの住民の方や研究者の皆様のおかげです。心より深くお礼申し上げます。






