国政刻刻 「侮辱罪」の厳罰化は必要か?
「侮辱罪」という刑法上の罪があることをご存じでしょうか。明治初期(1875年)に布告された他者を誹謗中傷した時に「拘留または科料」を科すという刑をルーツとしている。国民の名誉より政府の官吏らを守ることを重視し運用されてきた歴史的経緯があり、自由民権運動の言論弾圧にも使われた。その侮辱罪を厳罰化する法律改正が今、参議院で最終的な審議の場を迎えている。衆議院は自公と国民民主の賛成で通過した法案だ。
厳罰化の理由としては、近年、インターネット空間で心ない言葉で人を傷つける誹謗中傷が横行していることへの歯止めと説明されている。現行の法制度を改め、深刻な被害を食い止めるためという。衆議院の参考人質疑では、テレビ番組に出演した女子プロレスラーがSNS上で中傷され、自殺した問題で、母親がその胸の内を語ってくれた。ネットへの投稿者2名が侮辱罪に問われたが、科料9000円にとどまった。今回の刑法改正では、1年以下の懲役・禁固もしくは30万円以下の罰金を科すこともできる。
この法律改正がどのような影響を及ぼすか、国会でも審議が進められている。例えば「『首相はうそつき。早く辞めれば』と言えば犯罪に当たるか」との質問に古川禎久法務大臣は「犯罪の成否は証拠に基づき捜査機関によってなされる」と答えた。では捜査機関の長、二之湯智国家公安委員長は当初は「ありません」と答えたが、後に「逮捕される可能性は残っている」と答弁を変えた。侮辱罪は、事実を示さなくても侮辱とされれば成立する。
実は私自身、3年前の参議院選挙時に、ツイッター上で、「嘉田由紀子は離婚後の共同親権が子どもの貧困対策になるというが、そんなことはない。嘉田を落選させよう」とある子ども事業家から書き込みがあり、広まった。これは侮辱罪の対象なのか?私自身はこの書き込み者を訴えようとは思わない。言論の自由や表現の自由という権利の方が、社会的な言論空間として重要だと考えるからだ。新聞各紙の社説も賛否両論が併存している状況だ。皆さんはどう思われますか?






