国政刻刻 水害から命を守るためには、山が重要!
甲賀市で「第72回全国植樹祭しが2022」が来年6月に開催されるにあたり、山の植生が健全でないと水害から命を守ることができないことをお話しします。
昨年7月の熊本県球磨川豪雨での溺死者は50名。なぜ多くの方が命を落とされたのか。被害を受けた地元の方々と何が生死を分けたのか調査すると、多くの方は支流や支川の氾濫影響で亡くなったという結論を得ました。
球磨川上流の川辺川に計画されていた大型ダム。ダムは本流球磨川の水位を低下させる効果はありますが、ダムが建設されていたとしてもその水位低下効果が発揮される前に、多くの方は命を落としていました。
支流の氾濫は、気候変動による豪雨の影響もありますが、球磨川各支流の上流部の山の荒廃が大きな要因です。戦後の拡大造林後、50年以上経過し伐採時期となったスギ、ヒノキを皆伐し、放置されていたと判明。皆伐された山は保水力が低く、豪雨が短時間に支流や下流に集中します。山崩れを引き起こし、多くの人的被害が発生しました。日本の木材価格が低下する中、針葉樹林から効率的に収入を得ようとすると皆伐せざるを得ません。この調査結果は先月20日に発行した『流域治水がひらく川と人の関係―球磨川水害から学ぶ』という書籍にまとめました。
一方、滋賀県では昭和30年代末の燃料革命後も名神高速道路開通の影響などで工場誘致がすすみ、地元に働く場が増え、拡大造林を熊本県ほどひろげる必要が低かったわけです。そのため特に湖北や湖西でブナ林、トチの巨木が残され、クマもイヌワシも生きられる生態系が守られました。実は熊本県は、くまモンはいても野生のクマは数十年前に絶滅し、九州全体でも野生のクマやイヌワシは生息していません。
滋賀の豊かな山やまは、水害から命を守り、琵琶湖の湖水も山やまから供給されています。「森・川・里・湖」が水系としてつながる湖国の貴重な自然の価値を改めて確認し、「水源から守る」という流域治水の精神を未来につないでいきましょう。






