「ステージパパ、レオポルトの本音」 教則本の出版(5)
――1747年に結婚されてから、お子さんは何人お生まれになったのですか。
レオポルト 7人ですね。4人の娘と3人の息子。そのうちの2人だけが、成人しました。ナンネルとヴォルフガングです。
――資料によると、娘さんが1751年、そして、息子さんが1756年ですね。7人というと、今では、考えられない数ですが、当時はそのくらいが普通だったのですか。
レオポルト そうです。衛生環境が当時は劣悪でしたから、7、8人生まれて、2人が大人まで生き延びる、それが普通のことでした。悪い感染症が広がると、すぐに命を落としてしまいます。
――ちょうど、ヴォルフガングが生まれた年に、本を出版されていますが、どんな本か、紹介していただけますか。
レオポルト 『ヴァイオリンの教則本』です。技術的な助言を提供することはもちろんですが、もう少し、音楽史的にも、何か提言できないかと思い、書いたものです。単なるヴァイオリン弾きでは終わりたくなかったですからね。
――書籍を出すのは、今ではそれほど珍しいことではありませんが、当時は大変だったのではないですか。
レオポルト まあ、それなりに大変でした。幸いロッターという出版業をしている友人がいまして、大いに助けられました。文章を書くのは、それほど苦にならなかったので、これまで修練してきたことが書籍になるのであれば何としてでも、という思いでした。各地からいろんな賛辞を頂けたのが何より嬉しかったですね。
――その意味では、息子さんの誕生、書籍の出版と、どうやら、1756年は、ご自身の人生のなかでも、分岐点になったのではありませんか。
レオポルト いまから振り返ると、そうですね。1719年から1737年のアウクスブルク時代、1737年から1747年までのザルツブルクでの学生、無給の時期、それから1747年から1756年までの貧しいながら、仕事面、家庭面での安定した時代。それらの苦労が結実した年であったのかもしれません。何しろ、それ以降は、私の人生は、息子によってすっかり変わってしまいましたから。
――いよいよ、息子さんがお話の表舞台に出てくることになりますね。次回は息子さんの誕生秘話なんか、お話いただけますか。よろしくお願いいたします。
モーツァルト・バー「キール」
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