知事が市議会の決定を取り消す裁決
【野洲】 野洲市議会議員の北村五十鈴氏が同市議会から失職処分を受けたことに対し、県に行政不服申し立てを行っていた件について、このほど、三日月大造知事は、同市議会による決定は「違法な決定であるとし、これを取り消す」とした裁決を発表した。北村氏は失職が決定した今年6月28日に遡って、市議会議員の地位を回復することになる。
北村氏は、昨年10月の市議会議員選挙で再選を果たしたが、今年3月22日、同議会で「市内に居住実態がなく、地方議員は選挙の告示日3か月以上前から住所を有する者が被選挙権を有するとする公職選挙法違反ではないか」と指摘された。同議会では、ただちに資格審査特別委員会(百条委員会)を設置して審査を始め、今年6月、北村氏が市内に生活の本拠を有していなかったとの結論に至ったことから、同議会本会議で議決を採り、出席議員の3分の2以上の賛成をもって、「北村氏は被選挙権を有さず、議員の資格を有しない」との資格決定をした。北村氏はこの決定を不服とし、7月6日、三日月知事に対して地方自治法に基づく行政不服申し立てを行っていた。
三日月知事は今月3日付で「公正中立の立場から、関係法令に基づき、自治紛争処置委員の意見を踏まえて裁決に至った」とするコメントを発表した。
裁決の要旨として、「北村氏の生活拠点が複数存在し、同市議会が住所調査の必要性を認めたことも理解できる」としつつ、問題視された光熱水費について「友人宅などで起臥寝食したとすれば、炊事等しないという生活の形態と併せると、一定の生活実態があったことは否定できない」とした。また、「市内の日用品等の買物、ボランティア活動等について複数人から報告され、証拠としての価値が乏しいとはいえない」、さらに、百条委員会で居住しているとされた草津市のマンションについても「居住者が北村氏であることを明確に示す根拠はない」とし、「野洲市の居宅を生活の本拠として認めるのが相当」としている。
県庁で記者会見を行った北村氏は、「やっと身の潔白が証明され、言葉にならないくらい安堵している。これからは野洲市民のために、今までにも増して市民福祉に徹した議員活動に励みたい」と語った。
また、今回の資格決定への流れについて、議会の一部から人権侵害や名誉棄損があったとし、現在、弁護士とともに訴訟も見据えた法的な手続きを進めている一方、百条委員会設置などに市税約200万円が投入されたことについても、公金を使うことが正しかったのか精査していくとしている。
県の裁決を受け、同市議会の矢野隆行議長は「裁決が出されたことについては粛々と受け止めたい。居住実態の判断について感覚のずれがあるとも感じたが、裁決を覆すことはできないので、議会の活性化につながるよう、北村市議本人と面談して、今後について話し合いたい」とコメントしている。






