空き町家を落ち着ける空間へ改修
【大津】 大津市中心市街地にある商店街の空き町家を改修したホテル「HOTEL 講 大津百町」が6月30日、グランドオープンを迎える。4月末のプレオープン以降、歴史を感じられる和風の外観とモダンな内装が調和した空間が利用者から好評を博しており、商店街再生の新たな拠点としても注目を集めている。
JR大津駅前に広がる一帯は昔から“大津百町”と呼ばれ、伝統的な町家建築が随所に残る。一方、空き家となった建物も多く、地域活性化の面で課題の一つとなっている。
2016年、竜王町山之上の工務店「木の家専門店 谷口工務店」が町家改修によるまちづくりを企画し、取り組みを始めた。
同工務店の谷口弘和社長は「かつて大工の棟梁はまちづくりの立役者だった。その教えを引き継ぎ、県庁所在地の活性化にこれまで培ってきた経験を生かしたいと考えた」と話す。
谷口社長は、商店街の空き町家に着目。商店街全体を宿泊施設に見立て、旅行者が購入した食材を調理し、近くの銭湯で入浴することもできるなど、地域の日常を満喫できる「大津百町商店街町家ホテルプロジェクト」を計画した。
同工務店では、空き家の所有者を訪ねて取り組みへの思いを説明し、3棟を購入、4棟を賃貸契約へとつなげた。
改修工事は、なるべく元の梁や柱を生かし、町屋の風情を残すように務めた。経済産業省の補助金も活用し、総工費約3億円かけて整備。生まれ変わった7棟の総称に“人が集まる場所”という意味を込めて「講」と名づけた。
内装には、室内で過ごす時間を大切にするというデンマークを主とした北欧の家具を配置。寝室のほかシステムキッチンや部屋風呂も完備している。
ホテルは1棟貸し(一泊一人1万6250円~)と部屋貸し(同9750円~)の2種類。管理運営は出版社「自遊人」(本社・新潟県)が請け負う。プレオープン直後から予約が殺到し、利用者からは「静かでゆっくりとした時間が過ごせた」と感想が寄せられているという。現在は素泊まりしかできないが、宿泊価格を半額にしている。グランドオープン後はレストランを開業し、朝食つきプランや数量限定の夕食も始める。
プロジェクトには同市や地元まちづくりグループも協力しており、同市都市再生課の松岡俊也主任は「歴史的資源でもある大津町家から新たな賑わいを創出するきっかけの場所になれば」と期待する。
谷口さんは「今後も、物づくりの立場からまちを盛り上げていきたい」と意気込んでいる。







