県政NOW 「見直しを迫られる新生美術館構想について」
平成25年12月に新生美術館基本計画が策定され、開設30周年を迎えた県立近代美術館がリニューアルされようとしています。県立近代美術館がこれまで収蔵してきた近代美術や現代美術、また郷土ゆかりの美術に加えて、神と仏の美、そしてアール・ブリュット(生の芸術)の三つの柱が新生美術館のコンセプトです。また、新生美術館には老朽化で閉館された琵琶湖文化館の貴重な収蔵品も移される計画です。これまでに開催されたみんなで創る美術館フォーラムでは多くの県民の皆さんからも期待の声が寄せられました。
私も現場の学芸員の方々のご意見をお聞きしながら、平成27年9月定例会議において展示室の構造、収蔵品の安全確保、文化庁による公開承認施設制度の確実な認定、基本設計や実施設計策定における知事のリーダーシップの発揮などの提案をさせていただいたところです。県民の皆さんや関係団体のご意見をお聞きし、また県議会における多く議論を経て、さる8月28日に本体工事の入札が行われましたが、残念ながら不調という結果になりました。入札不調の原因は建設にかかる人件費の増加や美術館の建物の特殊性によって予定価格を上回ったということですが、その後の対応策として示されたのは情報交流棟や玄関前広場の整備、ギャラリーなどの改修を見送るなど本来のコンセプトにも大きく影響する規模縮小案だったので、県議会でも多くの反対の意見が出されました。
新生美術館の整備については本年2月定例会で決議が可決され、館長や学芸員の増員などの人員体制や運営方針を示すこと、整備費用の総額約69億円の遵守、維持管理経費の縮減、情報交流棟の費用対効果などの説明責任、来館者の利便性を高める方策の追求などが県当局に求められています。
現在の県財政については国体にかかる施設整備費などにより今後10年間、毎年100億円以上の財源不足が見込まれる中で安易に美術館の整備費用を増額させることは難しい状況です。
しかしながら、新生美術館構想は美の滋賀を全国に発信し、滋賀ならではの美の魅力を次の世代に伝え、文化や芸術の力で滋賀を元気にするためにも重要な計画です。あらためて、整備に民間の資金やノウハウを活用することの可能性を探るとともに実施設計のさらなる精査を重ねることが必要です。そして、県当局と県議会が前向きの議論を重ねて県民の皆さんの期待に応える新生美術館を完成させなければなりません。そのための第一歩として知事とともに計画を主導する専門職の館長を早急に選任するなど人的体制を確立することが重要です。平成31年度内の完成は困難な状況となりましたが、国内でもトップクラスに位置づけされる新生美術館の完成をめざしてこれからも努力していきます。






