「負けても大好き」を糧に 彦根市出身の椎名さん(38)
青春時代、相撲に情熱をかけ、女子相撲実業団入り第一号として、多くの大会に出場した彦根市出身の椎名智恵子さん(38)が昨年、第二十一回全日本女子相撲選手権大会の土俵を最後に現役選手を引退した。
女子相撲の競技は、超軽量級、軽量級、中量級、重量級、無差別級の五階級。椎名さんは体重五十キロ未満の超軽量級。身長一五〇センチ、体重四十六キロの小さな体格。
「なんで相撲なの?」と数えきれないほど聞かれた。「えっ!相撲?」と同年代の女性から笑われたことも。
椎名さんは高校卒業まで彦根市で暮らした。「中学一年生の時、テレビの大相撲中継で、全盛期だった貴花田関や寺尾関のかっこよさに驚いた。相撲を始めたきっかけだった」と話す。
当時、女性が相撲をとる場所はなく、椎名さんは相撲のかわりに柔道を選び、女子柔道部のある県立能登川高校に入学した。
チャンスが訪れたのは三年生の時、平成九年一月に大阪市で開催された第一回同大会だった。
柔道の顧問教師から「相撲、面白そうやから出てみるか」のひと言が後押しした。結果は三位入賞。前評判も何もない無名選手の入賞に大会関係者を驚かせた。
翌年、大阪芸術大学短期大学部に入学して技を磨き、「第二回大会」では見事、初優勝に輝いた。
大学卒業後の平成十一年、相撲部のある会社に入社、全国初の女子相撲選手の実業団入りだった。
男子部員の胸を借り、たった一人の女子部員の猛練習の日々が続いた。近年、華やかな戦績はないが「納得いく相撲をとりたいと気がついたら十九年、負けても負けても、相撲大好き」と苦笑いする。
「試合前、『攻めていけ』の監督の励ましが『怪我をするな』に変わった。そろそろ引退の時期だと自分に言い聞かせた」と椎名さん。後輩の指導など女子相撲に関わっていく夢を温めている。(金澤恵子)







