県政NOW 「この子らを世の光に」
障害者福祉の父と言われる糸賀一雄先生が昭和21年に創設された滋賀県立近江学園は、本年70周年を迎えました。
戦後の混乱期に「この子らを世の光に」の理念を掲げ、障害者支援教育について先駆的な実践や研究に取り組まれてきた糸賀先生の意志は、多くの人々の中に深く根づき、新しい時代にしっかり受け継がれて、今年4月に施行された「障害者差別解消法」へと実を結びました。その願いは、障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現であり、障害を理由とする差別の解消にあります。
しかし、本年7月に神奈川県で多数の障害者を殺傷した事件や福島の原発事故から避難している子ども達がいじめられているとのニュースに衝撃を受けました。人権感覚の麻痺ほど恐ろしいことはありません。私たちは、今一度、「この子らを世の光に」の思いに立ち返り、インクルーシブな共生社会の実現に向けて地域社会で何をしなければならないのか考えてみる必要があります。
近江学園の職員の方の回想です。「子どもたちと一緒に山中に入り、風呂たき用の丸太を切り出し、薪にして焚口まで運搬。作業場でのセメントレンガ作りに没頭した毎日。一緒に汗を流し苦楽を共にした生活。自給自足の真剣生活では、実践によって命が与えられ、それがやがて共の福(幸)に至ることを子どもたちから学びました。」「自分が変われば周りも変わる。実践者は常に自分を変えていく覚悟が必要なことを胸に刻み、心の糧としました。」年齢や能力を問わず、持てる力を精一杯使って生きていこうとする姿こそ「世の光」であり、「一隅を照らす」実践に通じるものです。
滋賀県は、新生美術館の中でアールブリュッドを常設し、世界で高く評価されている障害を持っておられる方の作品を展示する予定です。また、手話言語条例や差別解消条例の制定も急がなければなりません。今年は、福祉関係の多くの式典に出席させていただき、「この子らを世の光に」が社会の隅々に生きる社会の実現に邁進すべく心新たにしたところです。






