県政NOW 「三方よし」を地域に生かす
近江商人の活躍は、歴史上の事と思われる方も多いと思いますが、独自の複式簿記の導入や地域創生事業、コンビニ店舗型商法、企業年金などの考えをすでに江戸時代に編み出しており、それが現代社会にも生かされていることを思うと、近江商人の先見の眼に感銘を受けます。
中でも近江商人は、石田梅岩の心学を通して、「本当の豊かさや幸せとは何か、私たちは何を目指しているのか」などに思いを巡らし、その考えを企業経営や民主的な組織運営、新田開発などの社会事業などに生かしていました。それが、「売り手よし、買い手よし、世間によし」の「三方よし」の心得を生み出したのです。
この心得は、商人組合員には商業道徳が義務づけされていることからも伺えます。例えば、各自が持参する日野商人組合の「会員札」の裏には自分の名前とともにある一文字が書かれていました。ある人は「義」、ある人は「信」などという心学の徳目の言葉です。「義」は人として正しい心、「仁」は他人を思いやる心、「礼」は相手をうやまう心、「智」は工夫をこらす心、「信」は信用される心を指します。近江商人は、これらの言葉を肝に銘じ、「三方よし」に具現化して事業を進めていったのです。
ある方の講話の中で、「私たちが生きる現代社会は、グローバル経済による格差が拝金主義と利己主義を生み、一人一人の心を蝕んできている。今こそ地域創生と合わせて心の創生が求められている」とのご指摘でした。確かに、利権政治や人権侵害は拝金と利己の延長で起きることを思うと、それを見抜く力と正す力とともに近江商人の「三方よし」のような自律心得を持つ必要があります。
本年度は、18才選挙が導入され、県や市町では地域創生事業が進められます。格差を縮める富の再分配、安心できる老後の暮らしや子育て、活力ある企業活動と農林漁業、教育の仕組み等の施策と地域創生事業が、未来にしっかりつながるよう「三方よし」の思いを手がかりに提案して参りたいと思います。






