衆議院議員 岩永 裕貴
先日、土砂災害防止法改正案に関する代表質問に本会議で登壇致しました。広島市で起こった土砂災害などを踏まえ、国民の命を守りきる法整備の必要性を訴えましたので、抜粋してご報告致します。
私の生まれ育った甲賀市信楽町多羅尾では昭和28年、局地的な豪雨により当時「山津波」と呼ばれた土砂災害で多くの命や財産が奪われ、今なお、その爪跡は住民の心に深く残されています。また先般、広島市の土砂災害現場を訪れ、筆舌に尽くしがたい状況を目の当たりに致しました。我が国は、国土の約7割が山地という特有の地形を持ち、高度経済成長の中で過去に山が崩れてできた平地に多くの国民が住んでいるという事実を直視し、これからの国土づくりに取り組む必要性を改めて痛感致しました。
現在の土砂災害防止法は、1999年に広島市などで起こった死者31名を出した土砂災害の翌年に制定され、2001年から施行されました。しかし、本年8月の広島市の災害地域は、大半が警戒区域外で、避難勧告も遅かったという結果を鑑みると、15年前の教訓は、残念ながら十分に生かされておりません。
そこで、警戒区域の指定を促進し、住民への円滑な情報提供のためにこの度の法改正となりましたが、今回の法改正では、基礎調査に関する改善のみで、肝心の土砂災害の警戒区域指定について、何ら手だてが講じられておりません。地域住民の命を守り切るという観点からは、あくまで区域指定が本筋であると考えます。法律施行より13年が経過した今も、警戒区域の指定が完了しているのは、全国でもわずか数県。都道府県への是正要求は、基礎調査だけではなく、区域指定の遅れにこそ行うべきだと考えます。
また、近江八幡市では、広島市で発生した土砂災害を受けて、危険性の高い地域は市が補助や土地の準備を行って転居を促す条例の検討に着手されます。地域住民の命を守り切ると覚悟を決められた近江八幡市の行動は、非常に勇気あるものだと考えます。ただ同市では、移転を促す平野部の市街化区域に移転先となる宅地が残されていない現状があります。今後は、農用地区域の転用が必要になってきますが、転用については非常に多くの条件を乗り越えなければなりません。国内自給率向上に向けた農地保護を推進しつつも、「農地を守って命を守らず」ということにならないよう都市計画のあり方についても検討が必要です。
高度成長期の中で住宅化が進んだ地域では、住民の理解のもとに土砂災害の警戒区域を指定するのは、難しい面もありますが、今や、高度成長期とは多くの面で状況が異なっております。少子高齢化、インフラの老朽化、自治体財政の悪化という社会の変化に加えて、昨今の異常気象のもとでは、今まで何事もなかったから今後も安全だという経験則は通じなくなっています。国民の命を守り抜くために実効力ある法整備に努めるべきであると考えます。






