参議院議員 林 久美子
滋賀県知事選挙が終わって十日。七月二三日から二八日まで、北方四島の国後島と択捉島にビザなし交流で行ってきました。現在私は参議院の「沖縄及び北方問題に関する特別委員会」の委員長を務めており、以前、私は北方四島の元居住者の皆さんと、私が委員長在任中に必ず訪問することを約束しており、今回念願かなっての北方四島訪問となりました。まずは根室に入り、研修。そして北方四島交流船「えとぴりか」に四泊して、国後に一日、択捉に二日訪問する日程でした(波が高く天候が荒れたため、結局、択捉島も一日しか入れませんでしたが…)。
北方領土は、北海道本島の北東洋上に位置する、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の四島です。一九四五年八月、当時のソ連が北方四島を占領し、一九四六年に四島を一方的に自国領に「編入」し、当時四島に住んでいた約一万七〇〇〇人の日本人を強制退去させました。それ以降、今日に至るまでロシアによる法的根拠のない占拠が続いています。現在、北方四島にはロシア人が一万七〇〇〇人弱居住しており、ロシア政府は二〇〇七年から二〇一五年までの八カ年間を実施期間とする「クリル諸島社会経済発展プログラム」を実施中で、約五二二億円を北方四島の社会・経済開発に投入予定で、道路・港湾・空港整備などインフラ整備を集中的に行っています。
現地では、行政府の代表との会談、地元住民との交流、消防署や博物館、図書館等の見学、そして日本人墓地への墓参などを行いました。そこで私が感じたこと。それはロシアの戦略性です。まず北方四島に居住し仕事をする場合、ロシア本土に比べお給料が一・八倍程度に増額され、さらに一五年居住すれば年金が五年前倒しでもらえるとのこと。ですから、一五年程度出稼ぎのようなかたちで働きに来て、ロシア本土に帰る人も多いそうです。一定期間で転居する人が多いとはいえ、このような魅力的な制度を設けていることで、ロシア人が絶え間なく北方四島に居住している状態をロシアは戦略的に作り出していると言えます。対して、我が国日本はどうなのか。安倍総理とプーチン大統領との会談や「2+2」の実施など、一時は北方領土返還交渉への機運が熟してきたかと思われましたが、ウクライナの問題もあり、昨今、厳しい状況となっており、今秋のプーチン大統領の来日も難しくなってきたとも指摘されています。
今回ご一緒した元居住者の方々がおっしゃいました。
「以前は、ビザなし交流の際にロシア人が身構えていたが、随分ロシア人の生活態度が落ち着いてきたし、日本人が住んでいた証がなくなってきた。戦後六九年。三代にわたって四島に住んでいる人々も出てきている。私たちが先祖から住んできた期間と同じ期間、ロシア人が住んでしまったということだ…」。
「ビザなし交流に参加出来るのも、年齢的に今回が最後だと思って来ました…」。
日本に強制退去させられた元居住者の平均年齢は七九歳。生まれ育った故郷に戻れる日が一刻も早く来るように、私も精一杯の取り組みをしてまいります。






